「簡素にして品格あり」 | [ Architecture , Event ] |
NHK教育 新日曜美術館 2005年11月27日 午前9:00~10:00 (再放送)午後8:00~9:00
「簡素にして品格あり 建築家・吉村順三の仕事」
「吉村順三建築展」を契機として、吉村の建築、その思想を伝えるべく、一つのドキュメンタリーとして作られた。ただの展覧会の紹介以上の内容であった。
内容の概略をメモした。
新緑の軽井沢吉村山荘の佇まいと、その仕掛けが語れる。芸大の益子義弘教授のこの山荘を初めて見た時の感動が語られた。
続いて、吉村の住宅の仕事、園田邸、日高邸が紹介される。
彼の経歴、下町生まれと生来の絵を描くのを好んだこと、中学生で住宅のコンペティションに応募入選したことが語られる。
美術学校建築科の卒業制作は「最小限住宅」、その頃、卒業制作に住宅をテーマにすることの特別な事であった。
住宅以外の仕事、NCR の事務所ビル(現在、日本財団ビル)の吉村のあくなき快適性、合理性の追求が語られた。
藤森照信・東京大学生産技術研究所教授が、吉村の中学生時代の住宅コンペ案について分析する。
その大人じみたプロフェッショナルな技倆に注目する。
軽井沢の山荘の秋、紅葉の佇まいが美しい。
● 松山が軽井沢山荘とは何かを語る。それは一本の樹ではないか、おおきな幹、そして枝葉をもった、そこに鳥のように人間の生活がある。
南台の吉村自邸、その時間とともに芳醇な住まいの有様、東山魁夷邸が語られる。
目白の旧吉村事務所、その吉村の書斎のような執務室を、元スタッフとして吉村の仕事を支えた奥村昭雄芸大建築科名誉教授がそれを語る。
愛知県立芸術大学、そして、奈良国立博物館を元スタッフの建築家・平尾寛さんが語る。
八ヶ岳高原音楽堂が、一つの楽器のように設計された音楽ホールであることが語られる。
● 八ヶ岳音楽堂の為に作られた「たためる椅子」に腰掛けた三人がいる。
松山によって芸大建築科における椅子制作の課題が語られ、吉村の椅子の考え方、実際にその椅子がたたんだ状態が披露される。
最後に、寡黙な建築家であった吉村順三が生前語ったビデオが登場した。
「建築は感性」と吉村は強く語る。これは建築家・吉村の理屈・理論に走る建築の世界に対し、一つのアンチテーゼとしたものであろう。
画面は冬の軽井沢の山荘、雪の中にある。
秋山さん こんにちは。 本日より目白の吉村順三記念ギャラリーが再開されました。 とりあえず、毎週土日開館にて運営されるようです。
http://susumenysi.exblog.jp/4742758/
Posted by: いのうえ @ December 16, 2006 11:21 PM吉村順三の卒業設計「最小限住宅」は高木さんから話には聞いていたけれど、この番組ではじめて見ました。吉村順三のミームがBe-h@usの動機付けになっているのでしょうね。展覧会は今週行く予定です。
Posted by: iGa @ November 29, 2005 10:01 AMいのうえ さん、ishiakwa さん、どうもです。
ぜひ、上野の展覧会をご覧になってください。大変、混雑しているようですが、特に、今回のテレビが放映された後は結構な数の方々がいらっしゃるとのことです。吉村順三はあまりにも「普通」に見える。それは彼の望んだ世界であったと思いますが、彼の評価がいつまでも玄人好みであることが、この世の中の建築をおかしくしているのではないかと私は考えています。
拝見しました(展覧会はまだですが)
吉村氏の建築のようにとても丁寧な番組で内容でありました。
秋山さんのこのエントリーのおかげで見逃さずに済みました。
いつも朝夕見慣れている吉村順三記念ギャラリーも 展示スペース以外の内部空間を見るのは初めてでしたので シロウトなりに面白かったです。教えていただき有り難うございました。