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MAKERS

BOOKS

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MAKERS
―21世紀の産業革命が始まる

著者: クリス・アンダーソン Chris Anderson
訳者: 関 美和

ISBN: 978-4140815762
出版社: NHK出版
価格: 1,995-円(税込)

先日、中谷礼仁氏に会った時、その時一緒にいた若い方々に「この人は革命ばかり……」と紹介されてしまったが、本書 MAKERS メイカーズは革命の本だ。

それも、今、起きている革命……の話しなのだ。
我々の手にパーソナルコンピュータという道具をもたらした革命……、コンピュータとインターネット、それらは我々にとって切り離せない世界なのだ。そして、その次は、ビットからアトムへ……、デジタル情報のビットから、アトムを……、現実の物を作ることを、自分の手のうちに取り戻そうという革命なのだ。

MIT教授のニール・ガーシェンフェルドの「ものづくり革命―パーソナル・ファブリケーションの夜明け」、最近の田中浩也氏の「FabLife―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」」と同じテーマの本で、その方向を追い続けている私なのだ。

本書 MAKERS の著者、クリス・アンダーソンは WIRED ワイアード米国版の編集長だ。ロングテールなる概念を同誌上に公開し「ロングテール」を刊行、そして、「フリー」も……。

というわけで、実にジャーナリスティックに、この革命の本質、過去から未来までを書いているのだ。

彼は自分自身のメーカー(作る人)体験と、発明家であった祖父の話から始める。そして、スティーブ・ジョブズのメーカー体験、Whole Earth Catalog のスチュアート・ブランドの影響も語られていくのだ。


目次
第1部 革命

  第1章 発明革命
  第2章 新産業革命
      ウェブ世代がリアルワールドに目を向けるとき。
  第3章 未来の歴史
      マンチェスターとイギリスの家内工業に起きたことは世界を変えた。
      それはふたたび世界を変えるだろう。
  第4章 僕らはみんなデザイナー
      だれでも上手にデザインできる時代がやってきた。
  第5章 モノのロングテール
      大量生産品に飽きて自分だけのものが欲しくなったら?

第2部 未来

  第6章 変革のツール
      3Dプリンタは、なんでも生み出す魔法の杖になる。
  第7章 オープンハードウェア
      顧客が製品開発を手伝った上にお金まで払ってくれる?
      そう、ビットを与えれば、アトムが売れる。
  第8章 巨大産業を作り替える
      自動車産業は、製造業の中の製造業。
      もしこの巨大産業を変えることができるなら、なんだって変えられる。
  第9章 オープンオーガニゼーション
      もの作りの革新は会社組織の革新から。
 第10章 メイカーズの資金調達
      製造の終わりと販売の始まりの境界線はどこにあるのだろう?
      メイカー市場には、境界など存在しない。
 第11章 メイカービジネス
      趣味を本物のビジネスに。
 第12章 クラウド・ファクトリー
      もの作りがオンライン化すると、すべてが変わる。
 第13章 DIYバイオロジー
      メイカーの究極の夢、それはプログラムえきる物質を作ること。
      自然の造形物はみなそうだ。

エピローグ 製造業の未来―西側先進国は復活できる。

   付録 二一世紀の工房 ―さあ、メイカーへの第一歩を踏み出そう。

      謝辞
      訳者あとがき
      [巻末] 原注


2003年3月に Hotwired Japan 編集長の江坂 健(えさか たける)さんに Be-h@us についてインタビューを受けた。

 ● 『個人の‘自立’をうながす住宅システム「Be-h@us」

私もまた、Be-h@us によってコンピュータと家を造ることをインターネットの世界の中で融合させ、皆が情報を共有し。皆、自分自身で作ろうという世界を作ろうと考えていた。

今、パーソナルファブリケーションの進展を考える時、我々の MAKER メーカーとしての自立と、工作機械の進化が家の作り方を変えることによって、新しく作り方を共有した世界が見えてくるように思っている。

最近興味を持っている Wikihouse もパーソナルファブリケーションの一つだ。パーソナルコンピュータと工作機械の進化が家の作り方を変えていく……、そこにBE-WORKS も参画したいと考えている。


追記 121108

著者の Chris Anderson クリス・アンダーソン氏が WIRED の編集長を辞めて、自身で設立したラジコン飛行機製作会社「3D Robotics」のCEOへと転身されたとのことだ。以前から話題の AR.Drone を作り出した組織だ。

本書の第11章「メイカービジネス ー趣味を本物のビジネスに」を、身をもって始められたようだ。


Posted by 秋山東一 @ November 7, 2012 02:15 AM
Comments

shin さん、どうもです。
もうすでに、あなたは MAKERS の拠点を握っておられる……。

Posted by: 秋山東一 @ November 13, 2012 01:37 PM

2章からのおもしろさは抜群です
趣味を製品にするクラウドファクトリーが当たり前の社会になりそうです

Posted by: shin @ November 13, 2012 11:31 AM