REVOLUTION in The Valley:角丸長方形だらけ! | [ Apple , BOOKS ] |
玉井さんの MyPlace のエントリー「REVOLUTION in The Valley:サインパーティー」を読んだ。
REVOLUTION in The Valley には、全部で100編近くのエピソードがあるのだが、玉井さんは「どれかひとつを選ぶとしたら、きみはどれがいい?と誰かにきかれたらぼくはどうしようかなと考えてしまった。どれも捨てがたいので随分悩んだ末に「Signing Party」というエピソードを選ぶことにした。」と書かれているのだ。
さてさて、私だったらどれを選ぶだろうと考えたのだ。
どれもこれも面白くて、どれか一つのとなると難しい。そして、これを選んだ。
Round Rects Are Everywhere ! 角丸長方形だらけ!
本の50頁、たった1頁の話だ。
Bill Atkinson が Macintosh の QuickDraw の機能に、浮動小数点演算のない68000プロセッサー上で、高速に円、楕円を描くルーチンを作りだした時の話だ。
そのデモを見た Steve Jobs が言った。「まあ、円と楕円はよくできたな。でも角の丸い長方形はどうだ? それも今できるのか?」。「いや、そんなことできませんよ」、「実際、そんなことするのは面倒だし、さほど必要だとは思えませんけどね」と Bill は反発したのだ。ここで Jobs に火がついてしまったそうだ。「角の丸い長方形なんて、そこら中にあるだろ! この部屋を見回してみろ!」。部屋の中にも、外にも角丸長方形はいっぱいだった。Steve は Bill を外に連れ出し、角丸長方形を見せた。そして駐車禁止の標識の横を通り過ぎた時、Bill は「思っているほど難しいかどうか、やってみます」と言った。
翌日午後には、Bill は「RoundRects」と名付けた、角丸長方形を描く機能を QuickDraw に付け加えたんだそうだ。
まだ20代の若者、職人肌の Bill Atkinson と、洞察力に富む Steve Jobs がぶつかりあって、今、グラフィックソフトに当たり前の「角丸長方形」を描く機能は世の中に登場したのだ。
そんなこんな、Macintosh は全て新しく、彼らによって作り出されたものなのだ。
「かどまる3」なるお道具の登場で、ジョブズが「角丸長方形 Round Rects 」を描くというコンピュータでのお絵書きの機能を作り出した張本人であることを思い起こした。
そして、iPhone のない時代があったことも……。
Jobsがもうすこしいいやつだったら、「おっ!すごいね」なんて言って、しばらくは円や楕円を描いて遊んでから頃合いを見て、「だったら、角丸の四角もできるかもしれないね」なんて運んでいたでしょうね。こんな風に挑発されたからこそ、「このやろう」と思ってBillは翌日に作っちゃったんでしょう。してみると、Jobsのこういうところは結果としてMacをよくしていったわけですね。言われてみれば、キーボードなんか、文字がみーんな角丸だ。
Posted by: 玉井一匡 @ April 12, 2006 08:21 PM早い!
もうエントリーしちゃったのね。
このエピソードは如何に普段からモノをきちんと見ていないか、思い込みでモノを見ているかを考えさせられますね。