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喜多村 知

ABOUT , Art/Design

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この絵は喜多村知(キタムラ サトル・1907−1997)の「ぶどう棚」というデッサンです。
喜多村知は誰でも知っているような有名な画家ではありませんが、一部で大変評価の高い画家です。

実は僕は彼の弟子だったのです。

50年ちかくも前、小学校3、4年の頃、毎日曜日、たった一人でお弁当を持たされ喜多村先生のアトリエに行かされクレパスで1枚の絵を描かされておりました。いやでいやで堪らなかったのを今でも思い出します。先生御一家の二間の家の大きな部屋がアトリエでした。その沢山の描きかけのキャンバスに囲まれた小さな空間のなかで絵を描かされお弁当を食べて帰るという一日でした。

2000年3月18日、画業75年とある「喜多村知展」に銀座に出かけ、先生にお会いするつもりでいたのが、奥様から先生は3年前になくなったとのこと、不覚にも急に涙が留めどもなく流れ出しとても恥ずかしい思いをしました。もう会えなくなった先生のことよりも、先生に一度も感謝することができなかったことが悔しかったのです。自分自身が今、あの幼少の自分にとって辛かった時間、喜多村先生は決して子供扱いすることなく私に接してくださった。今回、それをお会いして感謝したかったのです。それがもう叶えられなくなったことが悔しかったのです。

その展覧会に展示されていた先生の絵を一枚頒けていただきました。それがこの絵です。

「ぶどう棚」というスケッチブック2枚をつなげて描いたデッサン。ペンの線、パステルの面、水彩の色が鮮やかに彼が表現しようとする世界が目の前にあるような気がします。これは大作のエスキースとして勝沼で描かれたものだとのことでした。先生がこれから表現しようとする世界の「設計図」がそこにあるのです。


1981 喜多村知 朝のワルシャワ 38.5×31 水彩・パステル

1986 喜多村知 能生港 20P 油彩


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Posted by @ June 1, 2003 12:19 PM | TrackBack (0)
Comments

小道さん、こんにちは。

喜多村知先生の展覧会、昨日行ってきました。先生の油彩は迫力におされて怖いくらいですが、今回のパステルと水彩は、なんだか気が休まるような、美しい色に充ち満ちていました。ぜひ、いらしてください。

そして、今回、先生の描かれたものをいただいてきたのです。ここにエントリーします。お楽しみに。

Posted by: 秋山東一 @ October 22, 2005 10:00 AM

こんばんは 小道です。
洲之内徹さんの本に出会って、いろいろな画家たちを知ることに
なりました。洲之内コレクションが見たくて、日帰りで仙台へ行
ったこともありました。喜多村知さんのお名前を拝見することに
なろうとは。弟子っていい響きですね。

Posted by: 小道 @ October 21, 2005 11:50 PM