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奇跡の団地 阿佐ヶ谷住宅

Architecture , BOOKS , JEDI

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奇跡の団地 阿佐ヶ谷住宅
 
著者: 三浦 展/大月 敏雄/志岐 祐一/松本 真澄

ISBN: 978-4860730451
出版社: 王国社

価格: 2,100-円(税込)

ここ阿佐ヶ谷住宅は、2007年の3月31日に行なわれた第五回アースダイビングの終点の場所であった。善福寺川にそって半日、のらりくらりと花見をしながらついたのが、阿佐ヶ谷住宅であったのだ。

第五回アースダイビングへの案内に、いつもの企画者 iGa さんは「……これが阿佐ケ谷住宅を見る最後の機会かも知れません。散りゆく桜花を愛でながら1950年代のモダニズムに想いをはせるアースダイビングとなりそうです。」と書いていた。

そんな阿佐ヶ谷住宅の本が登場、これはこれは……というわけで、早速手に入れたのである。

本書は編集者・三浦展(みうらあつし)のもと、三人の建築専門家の手になるものだ。とても平易に一般書として書かれたものだ。


目次
序 「ここは団地なのか?」

第1章 阿佐ヶ谷住宅と建築家たち

第2章 阿佐ヶ谷住宅設計の舞台裏

第3章 住まわれた阿佐ヶ谷住宅

第4章 阿佐ヶ谷住宅のテラスハウス

あとがき


阿佐ヶ谷住宅は1958(昭33)年に日本住宅公団によって分譲された団地である。もう半世紀も経ち、豊かな緑の中に傾斜した屋根をもったテラスハウスによって特徴付けられる。
それを作り出した建築家たち、公団の津端修一、テラスハウスを設計した前川事務所の大高正人、彼らの後には巨匠・前川國男、初代公団総裁・加納久朗、本書は彼らの物語であり、又、そこに住み、その環境を育ててきた住民達の物語でもあるのだ。

その豊かな場所も、半世紀過ぎた今、消え去ろうとしている。


第五回アースダイビングで、この阿佐谷住宅の前川テラスハウスに多くの参加者が魅了されたのは当然のことだが、ONE DAY の小野寺さんのご自身のイラストによる感想はすてきだ。

 ● ONE DAY : 第五回 アースダイビング<善福寺川+阿佐ヶ谷住宅>その2


追記 100304

前川のテラスハウスの断面図を見て気がついた。その「ヘの字」型の屋根は、私にとって極く親しいものだ。長短二つの屋根面のどちらを南面させるかの違いはあるが、階段・吹抜けのある傾斜天井の断面形は同じなのだ。ソーラーシステムを持つ私の断面計画では長辺を南面させている。松本のBe-h@us・飛曇荘がその形である。


追記 100305

HOW BUILDINGS LEARN 流に言えば、50年間にわたって建物は学んだのである。その緑の生長とともに、建物も成長してきたのである。

しかし、建物の6つの層、レイヤーの内、最も変わらないとされている「敷地 SITE」が変わってしまう……、その価値、価格が上がってしまって、建て替えというような事態になるのは……、決して望ましいことではないだろう。


追記 100701

讃岐のショップマスターこと、ベーハ小屋の菅氏も、最近、「阿佐ヶ谷住宅」を訪れたようだ。
 ● ShopMasterのひとりごと : 奇跡の団地 阿佐ヶ谷住宅
 ● ShopMasterのひとりごと : 阿佐ヶ谷住宅


Posted by 秋山東一 @ March 4, 2010 12:03 AM
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