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ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト

BOOKS

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ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト―最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅

著者: ニール・シュービン Neil Shubin
訳者: 垂水 雄二

ISBN: 978-4152089557
出版: 早川書房
価格: 2,100-円(税込)

表紙の魚なのかワニなのか分からない動物は Tiktaalik ティクターリクという。
カナダ北部のエルズミア島に分布するデボン紀後期(約3億7500万年前)の地層から発見された化石で2006年に命名された。そいつの鰭は人間の手と同じ構造をしており腕立て伏せができたということだ。魚が海から上がって、四肢動物となり人類へと進化........そのミッシングリンクというわけなのだ。


本書はその発見者の一人であるシカゴ大学教授のニール・シューピン教授の著作だが、このティクターリクの発見物語.......と思ったら大間違い、古生物学から進化発達生物学、ゲノムサイエンス、解剖学にいたるまで現在の成果を駆使した人類進化の話、原書の書名、「Your Inner Fish...........あなたの内なる魚」の物語なのだ。


目次
 はじめに
 第1章 内なる魚を見つける
 第2章 手の進化の証拠を掴む
 第3章 手の遺伝子のかくも深き由緒
 第4章 いたるところ歯だらけ
 第5章 少しずつやりくりしながら発展していく
 第6章 完璧な(ボディ)プラン
 第7章 体づくりの冒険
 第8章 においのもとを質す
 第9章 視覚はいかにして日の目を見たか
第10章 耳の起源をほじくってみる
第11章 すべての証拠が語ること
 エピローグ
  謝辞
  註と参考文献
  訳者あとがき

ひさしぶりに知的興奮というところだ。もうこんなところまで分かっちゃっているのか.....と感心してしまうのだ。そんな米国じゃ.......成人の半分が進化論を否定......というのもなんだかなぁ。

生物と無生物のあいだ」「もう牛を食べても安心か」の福岡伸一教授の話も面白かったが、このニール・シューピン教授の本書も抜群の面白さ、こうなると専門のサイエンスライターも不要って感じなのだ。


追記 081112

しかし、この訳者ってちょっとおふざけ好き.........のようである。書名もそうだが、各章の題も..........なのである。唯の Vision が「視覚はいかにして日の目を見たか」だし、Ears も「耳の起源をほじくってみる」.........、まぁまぁ、お手柔らかに。

本書を読んで、三木成夫の著作を思い出した。
 ● aki's STOCKTAKING: ヒトのからだー生物史的考察


Posted by 秋山東一 @ November 10, 2008 01:25 AM
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