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もう牛を食べても安心か

BOOKS

先日.......といっても大分前のことだが、komachi memo2 の真鍋弘編集長とちょこっと電話で話した時、たまたま「生物と無生物のあいだ」の話になった。
その時、氏は同じ著者の本書「もう牛を食べても安心か」の方が.....ずっといいよ...とおっしゃるのであった。

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もう牛を食べても安心か
文春新書 416

著者: 福岡 伸一

ISBN: 978-4166604166
出版: 文藝春秋
価格: 756-円 (税込)

早速、読んでみたのだが、これ又、面白い読書であったのだ。


目次
 はじめにー狂牛病が問いかけたもの
第一章 狂牛病はなぜ広がったか―種の壁を越えさせた“人為”
第二章 私たちはなぜ食べ続けるのか―「動的平衡」とシェーンハイマー
第三章 消化するとき何が起こっているのか―臓器移植、遺伝子組み換えを危ぶむ理由
第四章 狂牛病はいかにして消化機構をすり抜けたか―異物に開かれた「脆弱性の窓」
第五章 動的平衡論から導かれること―記憶は実在するのだろうか
第六章 狂牛病病原体の正体は何か―未知のウイルスか、プリオンタンパク質か
第七章 日本における狂牛病―全頭検査緩和を批判する
 おわりにー平衡の回復
 主な参考文献

本書は「生物と無生物のあいだ」が雑誌に連載される以前に出版されていたものだ。
本書の書名「もう牛を食べても安心か」も帯の文言も.....まさしく、センセーショナルな週刊誌の吊り広告のの字面にしか読めないが......中味は大違いなのだ。
本書は「狂牛病」の諸相を概括しながら、ルドルフ・シェーンハイマーの「身体構成成分の動的な状態」から「生命とはなにか」を語っているものなのだ。それは「記憶は実在するのだろうか」という分析実験の話にまで至るのだ。

もちろん、本書のメインテーマは狂牛病である。その正体はプリオンタンパク質か........、プリオンなる言葉を発明したスタンリー・プルシナーがノーベル賞を受賞するまでの話を語っていくという.......著者は根っからのストーリー・テラーなのである。

もちろん、結論は分かっている。牛を食べることは........危険なのである。


Posted by 秋山東一 @ July 25, 2008 07:30 AM
Comments

iGa さん、どうもです。
私も同感であります。真鍋さんに言われなかったら、書名だけで読もうとしまかったと思います。この書名、帯.....みんな編集者の責任ですね。この編集者としては週刊誌的な内容で十分だったのが、こんなに高級になっちゃって......困っちゃったのかしら。
新聞の書評でも、書名と内容の座りの悪さについて........書かれていますね。

Posted by: 秋山東一 @ July 25, 2008 08:11 PM

まだ、下書き状態のままでエントリーしていないけど、こちらのほうが面白いですね。僕は読んでて気持ち悪くなってしまったのですが、その理由を書こうと.....ですが、まだ...

Posted by: iGa @ July 25, 2008 08:06 AM