ヒトのからだー生物史的考察 | [ BOOKS ] |
ヒトのからだー生物史的考察
著者: 三木成夫
ISBN: 4900470090
出版: うぶすな書院
定価: 2,200-円(+税)
昔、三木成夫(みきしげお)の中公新書「胎児の世界」を読み、その時、彼が芸大の美術解剖学の教授であることを知り、親しみを感じていたのであるが、すっかり忘れていた。
本書の半分近くが解説で占められている。解説者は高橋義人、吉本隆明、今泉準一、小板橋喜久代、吉増克實、後藤仁敏、その多くの識者によって三木の思考が語られる。生物学者というよりも思想家であること、彼の考えが生物学という範囲に留まらず一つ思想として認知されていることをここで知った。
その解説者の一人、吉本隆明の解説の一部を引用してみよう。
三木成夫『ヒトのからだ』に感動したこと.................わたしは歴史の哲学や、歴史の発展を分類する原理や、文学、芸術作品の歴史についてなら、マルクスや折口信夫の考え方から、それを知っていた。だが「ヒトのからだ」の成り立ちについて、植物や動物の「からだ」を含めて、生物の全般に流通できるおなじ考え方がありうることを披瀝している学問の哲学者が存在することを知ったのは、わずか数年まえ、三木成夫の本に接したときであった。こんな人が日本にいたのだということに、いたく感動させられた。学問は知識の拡大ではなく、自明なことを根拠のうえにのせる創造の作業だということを「ヒトのからだ」について方法的な明確さによって成就してみせている。これに驚かなかったらうそなのだ。これは三木成夫の思考法にどんな弱点があるとしてもくつがえることはないとおもう。
.................
私が芸大美術学部に在校していた頃、三木成夫は芸大で講師として教職につかれていたとのことだが、もし、三木の講義を受けても今のようには感じることもなかったであろう。芸大での教職と「シェーマの名手」たる三木とは直接関係はないと思うが、三木成夫の思考は「シェーマの名手」であることと大いに関係していると、私は考えている。
彼は建築家のように、エスキースし、手で考え、彼自身の思考を深めていったのではないだろうか。
Posted by 秋山東一 @ January 11, 2005 06:23 AM真鍋さん、先日は突然お伺いし失礼いたしました。
三木、網野と皆故人ですが、今までの固定観念をブレークスルーする彼らの著述を知ったことは大きな喜びです。
先日はひさしぶりにakiさんに会え、三木の本のことなど話ができてよかったです。来客中で失礼しました。
Posted by: komachi @ January 13, 2005 12:39 AM