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蒸気機関車200年史

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蒸気機関車200年史

著者: 齋藤晃


ISBN: 978-4757141513
出版: NTT出版

定価: 4,410-円(税込)

元祖、トレビシックの蒸気機関車が南ウェールズを走ったのが、1804年とのことだ。それから200年……、21世紀の今から蒸気機関車を考察したのが本書だ。

著者、齋藤晃(さいとうあきら)氏は、本ブログにおいて極初期にエントリーした「機械らしい」に取り上げた二冊の蒸気機関車本「蒸気機関車の興亡」「蒸気機関車の挑戦」の著者なのである。

再びの蒸気機関車本……、蒸気機関車のメカニズムに焦点をあてた本書、その発展史は462頁、厚さ30mmを越す大著なのである。


目次
まえがき

第1章  初めて機関車が動いた200年前
第2章  夜明け前 ―蒸気機関の100年
第3章  黎明期の機関車
第4章  蒸気機関車の自立
第5章  シングルドライバー
第6章  アメリカン4―4―0
第7章  狭軌鉄道の登場
第8章  バルブとバルブギア
第9章  コンパウンド・エンジン
第10章 日本の蒸気機関車
第11章 国産機関車時代
第12章 反映されるお国柄 その1 ドイツ形
第13章 お国柄その2 イギリス形
第14章 お国柄その3 フランス
第15章 お国柄その4 アメリカ形
第16章 残された道

あとがき
世界蒸気機関車年表
参考文献


先の二著についてのエントリー「機械らしい」は、男性の誉め言葉として「男らしい」と言うならば、蒸気機関車こそ「機械らしい」という誉め言葉に匹敵するものではないかという考えに基づいている。

著者・齋藤晃氏は本書あとがきに書いている。
「……
 輸送するための一種の機械に過ぎないが、機関車に限らず高速で人を移動できるものには一種の魔物が住んでいて、人間を夢中にさせる。それがエンスー (enthuse) を生む不思議な力である。とり付かれた人々は仕事だけで携わる人と立ち向かう姿勢が一味違い、もちろん基礎的な技術的知識経験がベースになるが、広範囲の鋭い関心が次の進化を生み出す。……」
そのように、エンスージアスト (enthusiast) としての自己を表明されている。

どうも、機械らしい蒸気機関車の世界は、多くのエンスージアストを生み出しているようだ。

エントリー「Armchair Modeler」では、同じ蒸気機関車でも模型蒸気機関車の世界、同じエンスージアスト平岡幸三氏のご著作を紹介したが、蒸気機関車好きの皆さんは「Armchair Engineer」と呼ぶべき存在ではないかと考えているのだ。

Posted by 秋山東一 @ May 4, 2010 05:03 PM
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