100210

ジョイントボックス

BeV Standard

ShinkenH02_colum_1_0.jpg
装いも新たな「新建ハウジング+1」2月号のコラム記事は、「ジョイントボックス」を書いた。

本文の HOW BUILDINGS LEARN/What Happens After They're Built 「建物はいかにして学ぶか/建てられたあと何が起きるか」と同じく、このジョイントボックスも年来の主張なのだが、なかなかうまく使えていない。

住宅において、誰にでも仕組みが理解されることが、その家が時間とともに生きていく条件だと考えているのだ。

 ジョイントボックス

 住宅の給水・給湯配管は、床下や洗面所に設置したヘッダーを介して樹脂管を用いて各水栓まで施工する「ヘッダー方式配管工法」工法が一般化しつつある。

 「途中で配管を分岐せず配管するため複数同時使用でも圧力変化が少なく安定した流量供給ができ、接続部分がヘッダー部と水栓部だけであるため漏水等の危険性も少ないという機能的な利点がある。又、軽量でフレキシブルな耐腐食性にすぐれた配管材料により、ワンタッチ継手、従来配管工法と異なり、熟練労働や難しい施工技術が不用で、省施工・コストダウンにつながる。」という事だそうだ。
 そのような合理化のメリットという以上に、この仕掛けの単純さ分かり易さが重要である。この工法には端部にしか工事は存在しない、その途中に工事はないのだ。
 住宅内の配管の分かりにくさはその多種な材料によるたくさんの分岐・継手にあったのだ。こいつは「庭先の水栓とホースでつなぐだけ」……そんな感覚にさせてくれるのだ。

 電気配線にもそんな可能性のある部材があるのだ。
 パナソニックや未来工業から供給されている「住宅用ジョイントボックス」なる工事用配線器具だ。これは、いわゆる従来のジョイントボックスという唯のプラスチックの箱とは大きく異なる。内部に配線回路自体が内蔵されているのだ。

 「配線回路をあらかじめ組み込んだカンタン配線。現場作業の大幅省力化と信頼性向上を実現します。」とカタログにはうたっている。「現場での配線作業は、できるだけ効率的に進めたいもの。住宅用ジョイントボックスは、住宅を各部位ごとの配線ゾーンに分け、それぞれに適した配線回路をあらかじめ組み込んだ配線方式です。現場での結線、施工が大幅にスピードアップ。回路や接続の信頼性も向上します。」
まだ、ほんの部分的、試験的にしか使ったことがないが、きっと大きなマンション等の現場で大いに使われているのではないかと思う。
 通常の住宅でも大いに使われてしかるべきものと考えているのだ。

 ジョイントボックスを使う電気配線は、ヘッダー方式配管工法と同じく単純にして分かり易いのである。そこには難しい回路という仕掛けは既にできあがっているのである。そのボックスとスイッチ・照明・コンセントの諸々を唯々つなぐだけなのである。これは住宅内の電気配線の可視化、そして可変性、住まい手が理解し使っていく仕掛けであると考えているのだ。

新建ハウジング+1/ 10-02

 ● aki's STOCKTAKING: ジョイントボックス
 ● aki's STOCKTAKING: Be的な

Posted by 秋山東一 @ February 10, 2010 03:38 AM
Comments

go-shiyo さん、どうもです。
「実体配線図」と呼ばれているものですね。ジョイントボックスを使うと……より理解しやすい……ということになればいいのですが。
セルフビルダーにとっての電気配線手法を確立したいところですね。ぜひぜひ、よろしくお願いいたします。
「壁の中に配線しない」というルール、これは長期優良住宅に必要な決り事と考えています。

Posted by: 秋山東一 @ February 11, 2010 08:39 AM

電気に疎い当方としては、一般の電気配線図ではなかなか理解が出来ないので、真空管アンプの製作記事にあるような、実際の電線が繋がれたイラスト風なモノを描いています。
家一軒分の配線イラストだと、名家の家系図の様になりそうですネ。ジョイントボックスを使えば、イラストも簡単かな?なんて、サンプル入手したジョイントボックスを手に取り考えるところです。

Posted by: go-shiyo @ February 10, 2010 01:29 PM

yum さま、コメントいただきありがとうございます。

セルフビルダーとして、ご自身のご経験からのお話、これこそ活かさねばならないお話と考えております。確かに、最近の大容量の器具はマンツウマン・ディフェンスを要求しているのは承知いたしております。

最近巷では、長期優良……と称して、仕様ばかりが独り歩きした頭でっかちな住宅が流行っていますが、ここは、もっと足下を見据えて考えなければ……と思い、もっと具体的、単純な考えを主張いたしております。
将来の可変性を考え、壁の中には配線は通さないと決めたからには、「定規」のような仕掛けが必要かと思い、その役割をこのジョイントボックスに担わせたいと今もって考えています。

「配線の可視化・可変性という意味において……」とお書きいただいている通り、そんな風に使っていきたいと思っているのです。一度、しっかりとお話をお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

Posted by: 秋山東一 @ February 10, 2010 05:21 AM

akiさま

今回、実際にジョイントボックスを使って自分で配線してみましたが、最近の家電機器は大容量でその機器だけで1系統要求するものが多くて、水道のヘッダー方式のように単純にゾーンディフェンスにはならないというのが実感です。

例えば、台所。メーカーの言うとおりに配線したら、食洗機、オーブン、大型換気扇、それぞれ1系統必要です。
また、トイレもやたら色々な機能がてんこ盛り、ドラム洗濯機、エアコンなどもそれぞれ1系統よこせといってきます(使う頻度を考えて、その通りにはしませんでしたが)。

そんな訳で、ゾーンディフェンスにするにしても、電灯関係とコンセント関係に2分してから分けるとか、ここは冬にデロンギを使うので余り他のものを繋がないとか、本当は色々考えなければいけません。

beの場合は、配線を壁の中に通せないので、床下配線としたのでメインテナンスが楽ですが、通常の家は壁や天井裏を通して配線するので、一度配線してしまうと変更などが大変です。

ですから、配線の可視化・可変性という意味においては、ジョイントボックスは大いに有用です。

Posted by: yum @ February 10, 2010 02:35 AM