カラシニコフ銃 AK47の歴史 | [ BOOKS ] |
AK47: The Story of the People's Gun の邦訳だが、ただの歴史書のような素っ気ない書名よりも、その副題である「世界で最も愛された民衆の武器」こそ意味があるのだ。
本書は、いかにして一介の銃器である AK47 が、世界中の民衆に「愛される」武器になっていったのかを分析した最初の本なのだ。
AK-47 は第二次世界大戦中にミハイル・カラシニコフによって開発され、戦後1947年にソ連軍に正式採用された軍用銃だ。
優れた設計により、どのような環境下でもよく機能し、単純な構造のため、誰でも容易に扱えるという特徴を持つ。東西陣営の冷戦下、ソ連および東欧諸国、中国の正規軍の装備として大量に生産された。
1959年から1975年のヴェトナム戦争で「南ヴェトナム解放戦線」いわゆるベトコンによって西側諸国との戦争に初めて使用され、その優秀な性能を遺憾なく発揮した。米軍の絶大なる軍事力に対して、民族解放のシンボルとして AK は大いに喧伝されることとなる。
登場してから60余年、世界の各所で AK が伝説となり神話化し、文化となった銃器 AK の歴史が描れていく。それは、本書の帯の「解放と抵抗、勇気と勝利の象徴!、そして暴力とテロ、グローバル化の象徴!」なのだ。
今、AK は世界中に一億挺も存在するという。最終章の現代の米国での AK の有り様は、私が想像していた、左翼的な、反体制的としての「民衆の武器」という意味から、違った次元での「民衆の武器」となった AK には恐怖心さえ覚えてきた。