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AK-47 世界を変えた銃

BOOKS

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AK-47 世界を変えた銃

著者: ラリー・カハナー  Larry Kahaner
訳者: 小林 宏明

ISBN: 978-4054035683
出版社: 学習研究社
価格: 2,310-円(税込)

2003年、あの Playboy プレイボーイ誌が創刊50周年記念号で "Top 50 Products That Changed The World."「世界を変えた50の製品」なる特集を組んだそうだ。

その一位は Macintosh.............. というのは、Mac者としてはうれしい限りだが、まぁ、そのコピーである Windows への影響も含めてであろう。二位はピル、三位は Sony のベータマックス.........、 そして、四位は、なんと AK-47 があげられたのだ。

これは驚きだ。一つの銃器が一般的な商業製品と同列に扱われ、ランキングされているのだ。

AK-47 は第二次世界大戦中にミハイル・カラシニコフによって開発され、戦後1947年にソ連軍に正式採用された軍用銃だ。単純な構造のため誰でもすぐに扱え、めったに故障せず、きわめて安価なため、AK は各国の軍隊から反体制集団に至るまで、合法であろうが非合法であろうが、銃器を必要とする者に求められたのだ。

...........●本書は累計1億挺以上がつくられた「AK」が、その登場以降現在までに、いかに世界に「蔓延」し、世界をどのように変えていったのかをたどりつつ、AK の軍事的、文化的、世界史的意義を浮き彫りにする画期的な1冊!!.................と帯にある。


目次
    著者のノート
    序文
第1章 祖国を守る
第2章 AKとM16の対応パート1
第3章 パンドラの箱
第4章 アフリカのクレジットカード
第5章 ラテン・アメリカのカラシニコフ文化
第6章 アメリカを訪れたカラシニコフと彼の銃
第7章 国連も認めたほんとうの大量破壊兵器
第8章 AKとM16の対決パート2
第9章 AKをもう一度売り込む
エピローグ AK最後の?日
    訳者あとがき

私にとって AK への興味は、武器あるいは兵器にというよりも、そのメカニズム、その技術開発への興味なのだ。
しかし、本書によって、そんな理系の世界から文系.........、文化的、世界史的な意味合いを持った存在となっている AK を知ることとなる。

 ● aki's STOCKTAKING: カラシニコフ AK47
 ● aki's STOCKTAKING: カラシニコフ自伝

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なんだか、AK 本ブームのようだが、Michael Hodges マイケル・ホッジズの AK47: The Story of the People's Gun の翻訳本が河出書房新社から6月中旬発売される。

カラシニコフ銃 AK47の歴史—世界で最も愛された民衆の武器

この「民衆の武器」という視点は、AK の一面であると考える。
ベトナム戦争の時代、米軍に対峙する解放戦線の武器は AK であった。AK には民族解放、反植民地主義、反体制のシンボルという意味があったのだ。


Posted by 秋山東一 @ June 1, 2009 12:04 AM
Comments

kass さん、どうもです。
そう、そうなんですね。銃や兵器の事はマニアックな人達の話題だけではないのです。この本は実に......文系なんであります。

Posted by: 秋山東一 @ June 2, 2009 04:22 AM

銃に文化的意味が備わるというのは、日本の現状からは程遠い感覚ですね。俄然興味が湧いてきました。
図書館でカラシニコフ本を漁ってきます。

Posted by: kass @ June 1, 2009 11:55 AM

六尺さん、どうもです。
そう単純には捉えられないと思います。この AK という武器について、この半世紀の政治的な変貌の中で、我々の使い方、捉え方が変っていったことなのでありましょう。ただのソ連.....共産圏の武器であった AK が、冷戦下で民族解放の武器となり、現在はイラク、アフガニスタンの反米抵抗勢力の武器となっている..........。
小さな局面で、おっしゃるような事があるのは分かりますが、もう、そのような次元を越えた存在なのではないでしょうか。

Posted by: 秋山東一 @ May 31, 2009 11:24 PM

こういった「製品」のデザインが優れているのはよくわかるんですが、今、注意深く辿って行くべきなのは、誰が作らせて売って儲けたのよ?ということなのではないか、と思う次第です。
誰が、というネットワークを知ること.........陰謀論云々でなく、ですね。

Posted by: 六尺 @ May 31, 2009 10:38 PM