滝山コミューン一九七四 | [ BOOKS ] |
滝山コミューン一九七四
著者: 原 武史
ISBN: 4062139391
出版: 講談社
定価: 1,785-円(税込)
本ブログにエントリーしたばかりの「鉄道ひとつばなし 2」の著者の原武史氏ではないか。氏は明治学院大学の教授で日本政治思想史を専門とされている方だ。鉄道話しがサイドとすれば、本書はまさしくメイン、本業としてのお仕事なのであろう。
「滝山」とは東京都東久留米市の滝山なのだ。その「滝山」にも大いに反応、その滝山団地の戸建て住宅街には建築家・永田昌民氏一家が永らく居住していた家があり、私にとっても、極々親しい場所であるのだ。
本書は、そこにある滝山団地に住んでいた小学生の著者が体験した、市立第七小学校での出来事のドキュメンタリーなのだ。
著者が「滝山コミューン」と呼ぶのは、1970年代「戦後民主教育」の旗の下に行われた、全生研が進める「学級集団づくり」を実践する教員と、「革新的」な団地の住人、その子供たちによって実現された一つの「自治的な共同社会」である。
理想に燃えたそのコミューンの中で、著者は違和感を感じる。それは、その後の30年間、トラウマとして残ったのだ。
1972年、著者が小学4年生になった時、一つのクラス、4年5組が台頭してくることから、それは始まった。
著者と20年も年の差がある自分にとって、その時代の気分を小学生として感じるわけにはいかないが、なにか「となり町戦争」を読んだ時のような、日常の中の遠い不安を感じる近未来、そんな状況を描いたSF小説を読んでいるような気がしたのであった。
鉄道の話しから、この著者を知った自分としては、この小学生時代に形成されたいく氏の鉄道への興味、それも彼の分裂した自己として語られていく。又、東久留米、東村山一帯を分析した記述も地誌としてなかなか魅力的なのである。
Posted by 秋山東一 @ June 19, 2007 05:09 AMわきたさん、どうもです。
面白そうなシンポジウムですね。団地世代の皆さんがどんな風に、あの時代を総括されるのか楽しみです。「滝山コミューン1974」は、あの時代、あの場所を、原武史少年がどう見えていたのかを回想したものと捉えたらいいのではないかと考えています。
秋山さん、こんばんは。この『滝山コミューン1974』の著者・原武史さんが、私の勤務先にやってくることになりました。学生が中心になって学術活動の一環として開催するシンポジウムに、原武史さんと、それから「ニュータウン物語」というドキュメンタリー映画の監督をされた本田孝義さんが、シンポジストとして参加される予定になっています。私は、シンポジウムのコーディネーター・司会のようなもんですかね。ということで、また読み直さなくちゃ、であります。団地育ちのユニテ・ダビタシオン萌えですし。
Posted by: わきた・けんいち @ November 26, 2007 09:26 PM非常に近い環境にいたものですが、本質的に著者の回想録でしかないと思います。同じころに作られた団地の小学校であのような展開をした学校は、他にはないのでは
たとえば、私も団地に住んでいましたが、団地のほうが戸建より優れているような錯覚は一度も持ったことがありません。
記憶力についても 細かく覚えている≠正しく覚えている なので皆さんなんで感心するのか不思議です。
fuRu さん、どうもです。
「集団主義と個人主義」という二元論で本書を語るのは的外れではないかと思います。これはあくまでも歴史的、政治的なドキュメントで、題名である「.......コミューン」が「パリ・コミューン」を想起するように意図されてることからして明らかです。あの時代の左翼が団地という場で、その小学校で何を行ってきたのか、それに巻き込まれた小学生の著者の目で書いたものです。正直なところ著者の記憶力には敬服でありますが。
きっと、fuRu さんは幸せな小学生生活をおくられたのでありましょう。
先日、読了いたしました。
集団主義と個人主義をどう教育の現場でとらえ実践してゆくかということの、ひとつの実例として、興味深く読みました。
建築をつくるということも、集団主義と個人主義のせめぎ合いとして考えられますので、とても刺激的でありました。
わきたさん、どうもです。
ユニテ・ダビタシオン萌えのわきたさん、同世代のわきたさんが、どんな風に読まれるのかとても興味があります。
今朝の新聞の折り込みチラシに
滝山ブックセンターグループのものが入っていて
写真入りでこの本がでていました。
東久留米市立第七小学校は
東久留米市のこどもまつりの会場でもあり
割りとよく行く場所だったりします。
今、読んでいる最中です!!
Posted by: わきた・けんいち @ June 20, 2007 08:39 AMfuRu さん、どうもです。
本書の著者、原武史氏は1962年生まれだから、fuRu さんと同世代ではないかしら。1970年代の東久留米、滝山一帯の気分が実によく分かります。しかし、この人って.....実にうまいのであります。
東久留米在住の私にも興味深い本です。
が、リンクしていただいているアマゾンで在庫切れ。
マーケットプレイスで高値取引されていました。うーん。