スーパー鉄道模型 わが生涯道楽 | [ BOOKS , TOYS ] |
スーパー鉄道模型 わが生涯道楽
講談社α新書
著者: 原信太郎
ISBN: 978-4062724036
出版: 講談社
価格: 838-円(税込)
氏は1919年生まれの86歳、その生涯にわたる鉄道模型趣味を隅から隅までずずーいっと公開されたのが本書だ。その鉄道模型は「シャングリ・ラ鉄道」(Shangri-La、香格里拉)という。その鉄道は芦屋の氏のご自宅に私設ミュージアムとしてある。それは19m×10mの大きさ、60坪、120畳の大きさのレイアウトなのだ。
その光景、その広大なレイアウト、それを俯瞰した写真には息をのむ。
「シャングリ・ラ レイルウェイご案内」の運営目的なる文に「美しい実物車両の構造、形、音などの実感を手許に引き寄せるための媒体として、本物が思いおこせる様なスケールの模型を運転することである。」とあるように、まさしく、その目的のためにそれはあるのだ。
当然、大型の鉄道模型、Oゲージ(32mm)、1番ゲージ(45mm)で、半径2m以上のスティールのレールを使用し、全て実物と同じ機能を持たせるべく、特殊な動力装置「ブッフリ式 Büchli」を再現し、台車の「揺れ枕」を再現し、全ての車両が実物通りの「惰力走行」するという。専門家をして「実物を超えている」と言わしめたそうだ。
鉄のレールの上を鉄の車輪が走る、あたりまえの事のように思えるが、氏は「列車が通過した後の鉄の匂いまで感じ取ることができるように」とまで考えているのだ。
氏が幼少の頃から目覚めた鉄道模型、本書に書かれた氏の人生は信じられないような世界がある。実世界でのエンジニアとしてのすばらしい功績、これも鉄道模型趣味の延長上にあるというのだから、もう脱帽なのである。
ところで、本書を知ったのは、元マイクロソフトの副社長で、日本でのマイクロソフトの代表であった古川享氏のブログであった。氏が鉄道模型を趣味にしていることは知っていたが、JAM・日本鉄道模型の会会長であることは知らなかった。
本書の著者、原信二郎氏の博物館、原鉄道模型博物館が2012年夏、横浜に開館する。
● 原鉄道模型博物館