Märklin MAXI | [ MODEL RAILROAD , TRANSPORT ] |
LANDship/TOYBOX/1998
それは、いかにもアメリカっぽい大きなディーゼル機関車であった。黄色い車体に UNION PACIFIC の文字、きれいにプレスされたいかにもTin Toy らしいディテール、それは私を完全に圧倒してしまった。
それは私の物欲中枢を強烈に刺激し、その場で「これを・・・・」と言いそうになったくらいであった。
決して鉄道模型としてそのものが欲しかったわけではない、ただただその黄色い鉄板製の「もの」が欲しかったにすぎない。
落ち着いて値段を見てその高さに再び圧倒されてしまった。やっとそこで冷静になり、もう少しで出すところであったカードをポケットにおさめ、そしてカタログを買うのにおしとどめた。
それはメルクリンの1番ゲージの UNION PACIFIC のディーゼル電気機関車 EMD F7 であった。1番ゲージは線路幅 45mm、 縮尺 1/32 で、メルクリンが最近進めている MAXI という Tin Toy の鉄道模型シリーズのアメリカ型の最新作であったのだ。 MAXI シリーズのなかで最大の大きさ、全長 48cm もあるのだから圧倒的な迫力なのである。
1番ゲージは一般的に最大の鉄道模型で、通常、1番ゲージの車両は大変高価であること。
メルクリンの MAXI はそんな世界と違ってブリキ玩具っぽくリーズナブルな価格で提供している昔の Tin Toy を現代風に再構築している鉄道模型なのである。
とにかくそれは鉄板でできている。どんなにディテールがちゃんとしていてもプラスティックはごめんである。そしてアメリカ型で列車編成ができるように客車、貨車の類もそこそこ MAXI にはあるというのがわかった。
こうなれば落ち着いて、どうやって安く手に入れる事ができるのか考えはじめた。
そうなればインターネットの出番である。いろいろ探っていくうちにアメリカにメルクリンの通販をやっているショップを2軒探しだした。為替の問題はあるが日本の価格の6割程度の価格である。後は E-mail とカードの決済にまかせて、航空便での到着を待つばかりであった。
アメリカ型であるからには、これは Kadee 型が最上の選択である。ナックル型の原型に忠実な実感的な形態、軌道下に設置された磁石による解放の優れものなのである。
Kadee には1番ゲージ用がちゃんと用意されている。その仕様、取り付け寸法は標準化され、カプラーの心でレール面からの高さは 11/16 インチ 27mm が標準である。これがちゃんとついていればどんな車両がこようが互換性をもつているのである。幸いにもメルクリンは MAXI に Kadee をつけることを予期していたかのように少々の加工で取り付けることが可能であった。
1番ゲージの軌間は 45mm 、縮尺 1/32 、そして連結器の互換性がそのシステムを決定づけていることを、この Kadee 型に全ての車両の連結器を交換したときに理解した。
kadee カプラーもまたインターネットで直接メーカーから安価に手に入れることができる。
だが、てなところで満足というわけではないのが困ったものなのである。 FM7 のおおきな図体を見ているうちに、この先頭に CCD カメラを設備しようと考えてしまった。とにかく拙速に秋葉原、5万円でカメラ、トランスミッターを手にいれうまく機関車内部に組み込むことができた。しかし、すぐにカメラの選択が誤りであっとことに気づくことになる。
これもインターネットで発見、kcs というメーカーが作っている CCD カメラ、レンズがピンホールというものを発見したのだ。
これはなかなかな優れ物であった。ピンホールカメラはとっても広角、そして遠近ともピントが合うという特性を持っている。これをトランスミッターでとばしたテレビで見ると、実にリアルに虫観ともいうべき風景を覗くことができるのだ。それも玩具の視点でものが見えるのは、実に愉快なのである。