060816

星のみえない夜

Art/Design , BOOKS , THINK

soutei_1.jpgsoutei_2.jpg

四六判の丁寧に布装された黄色い本だ。

「星のみえない夜」と題されたその本は、本文108頁、一頁ごとに、山と森、植物の画、そして手描きされた文によって構成されている。

soutei_4.jpg soutei_3.jpg

soutei_6.jpg


本書「星のみえない夜」の著者は宗亭正治(そうてい まさはる)氏だ。
先日のエントリー「暑中見舞い」の Soutei氏は、この宗亭氏なのだ。

氏は「森林官」というお仕事なのだ。


<森林官とは>
全国の国有林の保護管理を行っている森林事務所に勤務し、国有林を歩き回ってパトロールを行い、国有林を守り育てるための調査、管理を行う仕事。大雨の後の土砂崩れなどが無いか見て回ったり、販売可能な木を選ぶ収穫調査、植林や間伐の際の指示・監督なども行なう。
森林は水を蓄えるなど、人びとの生活にとって大切な役割をはたしており、それを支える森林官の役割も大きなものとなっている。
<森林官になるためには>
森林官は国家公務員であることから、公務員試験に合格し、林野庁か森林管理局に採用されなければならない。採用されても必ず森林官になれるとは限らないが、本庁や森林管理局内、森林管理署内の勤務を経て任命される。


宗亭氏は、中部森林管理局・中信森林管理署・上高地森林事務所で、上高地とその周辺約23,000ha(山手線の内側が約6,000haだそうだが、この4倍弱の広さ)の国有林を一人で管理する森林官なのだ。


 ● 中部森林管理局


宗亭氏は多才な方なのだ。森林官のかたわら、絵画を好み、ご自身自らそれを為すという方なのだ。

この「星のみえない夜」は2000年に自費出版されたものだが、その一頁毎、一枚一枚の画文がどんな始まりだったのか、8号の「200字と一枚の絵」に書かれている。

 おりにふれ考えていたことを原稿用紙にまとめ、絵を一枚ひきずり出してそえる。
 これを「月一回のミニコミに」という話にのって去年(1987年)の秋から続けている。「何でもいい」とは言われたが、行動範囲も狭いので対象はもっぱら仕事で行く山、休んで行く山。
 何を感じてもらえるか悩んだときもあったが「月に一度の短い手紙」と思ったらふっきれた。200部のミニコミの続く限り、ネタ切れにならないよう、あちこちの山を歩くつもり。

そして、その「月一回のミニコミに」が100号となった記念に、「星のみえない夜」として出版なさったのだ。

 ● 「星のみえない夜」 目次

その風体(失礼)に似ず、その観察は細やかで優しい。森、そして自然への愛に満ち満ちているが、ご自身の職能、その仕事である林業、そのあり方への見方は鋭く、厳しい。
本書の書名「星のみえない夜」は、上の100号の「営林」の文からとられているのだ。

soutei_5.jpg


この左のものは、氏の最新の一枚だ。官製ハガキにプリントゴッコで印刷された絵と文だ。

宗亭正治氏を知ったのはつい最近のことだが、私が小学生の頃、師事した洋画家・喜多村知先生、その奥様からのお電話で知ったのであった。それも、宗亭氏が住宅を建てるにあたっての相談.......ということだったのだ。

後で知ったのだが、喜多村知先生は宗亭氏の先生でもあったのだ。まぁ、私が兄弟子、宗亭氏が弟弟子ということになるのかな(失礼)。そしてこの本をお送りいただいたというわけなのだ。

・ ・ ・ ・ ・

ところで、宗亭正治氏の住宅の話は、ずいぶんと昔からの計画だったのだ。
氏がOMソーラーの住宅を見学したのは、奇しくも阪神・淡路大震災の前日だったとのこと、そんなこんな、氏はOMソーラー・フォルクスハウスをずっと注視してくださったのだ。

宗亭正治氏は飛騨の産、そして安曇野に住む。氏は現在の住み家を「飛曇荘(ひずみそう)」と呼んでおられる。これは白洲次郎と白洲正子の「武相荘(ぶあいそう)」からなのだが、もちろん、「歪み」がでている現況を笑っておられるのだ。

近々、新しい「飛曇荘」の計画が始まる。OMソーラー、Be-h@us の計画だ。もちろん「歪み」でることなく.......である。


 ● aki's STOCKTAKING: 暑中見舞い


追記 080402

この「星のみえない夜」のコンテンツは、新しくブログという形で蘇ることとなった。
 ● aki's STOCKTAKING: Blog・飛曇荘


Posted by 秋山東一 @ August 16, 2006 12:13 PM
Comments