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戦艦大和復元プロジェクト

BOOKS

今年2005年は太平洋戦争が日本の敗戦として終了してから60周年という年だ。

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戦艦大和復元プロジェクト   角川oneテーマ21 (C-92)

著者: 戸高一成


ISBN: 4047041971
出版: 角川書店

定価: 760-円(税込)

その60年前の1945年4月、連合艦隊の旗艦・戦艦大和(46cm主砲3門を備えた砲塔を3基備えた世界最大の戦艦、乗組員3,300人余)は沖縄への特攻作戦「天一号作戦」出撃、その途次、米軍機の激しい攻撃によって沈没した。

徳之島ノ北西二百浬ノ洋上、「大和」轟沈シテ巨体四裂ス 水深四百三十米
今ナオ埋没スル三千ノ骸
彼ラ終焉ノ胸中ハタシテ如何
「戦艦大和ノ最期」吉田 満

今年4月、大和を生み出した呉海軍工廠の所在地、広島県呉市に、「大和ミュージアム Yamato museum 」(呉市海事歴史科学館)がオープンした。

その最大の展示物が1/10の戦艦大和なのだ。全長263mの大和だ、1/10でも26.3mもの大きさである。模型として空前絶後の大きさなのである。

その模型製作、1/10の大和復元のドキュメントなのだ。
高名な大和だからといってちゃんとした図面がそろっているわけではない、又、決定的な資料があるわけではない。そして実物は海底であり、その実物も年次毎に、いつも改修工事によって異なった仕様である。
まずは、どの時点の大和なのか、最後の作戦への準備改修直前の状態の大和を製作することとなる。

船体自身、新しく制作された線図によって、6mmの鋼板によって造船所で製作される。それは、本物と同じく進水式がおこなわれるのだ。
その24tもある船体は、早々に事中のミュージアム展示室に据えられ、制作作業が進行する。船体の大部を占める甲板の木部にも手抜きはない。船大工によって1/10の木甲板が一枚一枚張られたのであった。
上部構造物も同じく、膨大な資料、新発見の資料、一枚の記念写真にいたるまで、海底の大和の水中映像にいたるまで、最新の知見、最新の考証によって製作されていくのだ。
それは実物ではあるかないかのアンテナ線の細部にいたるまで、飽くなき努力をもって考証される。その引き込み口、そして碍子、その碍子の色は海底から引き上げられた一個の碍子が「茶色」であったことによって、今まで当り前のように思われていた、碍子は白、という常識が覆されたのだ。

世界最大の戦艦大和、その大和の最大の模型、全長26m最大幅4mにもなる1/10大和は、今、ミュージアムに誇らしげに横たわっているのだ。

本書には、その大和をめぐる艦船模型の世界、戦後、多くの先人達のその世界での貢献、努力が付されている。その方々あってのこの大和1/10というわけだ。大和造艦と天一号作戦をめぐる、著者と半藤一利氏との特別対談も興味深い。

さて、ちと広島・呉に向けて出かけたくなったな。お好み焼きもいいし、谷口もいいし。

Posted by 秋山東一 @ July 12, 2005 10:48 AM
Comments

これは・・・いきたい。
戦艦大和の建造費用はちょっと前で言うと
サンシャインビルを建てるときに似ていたと尾島先生に聞いたことがあります。
僕らからすると「大和」は特別です。

Posted by: 伊礼智 @ July 12, 2005 09:06 PM