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Think Different

Computer , OM/VOLKS HAUS

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Think Different」 は Apple の1997年の有名なキャンペーンだが、アップル社に復帰したスティーブン・ジョブズが始めた最初のキャンペーンであった。

shigeo's weblog のエントリー「The Seed of Apple's Innovation〜ステーブ・ジョブスのインタビュー」によれば、このキャンペーンについてスティーブ・ジョブスはこう云っているそうだ。

あのキャンペーンは、もちろん顧客に向けたものではあるが、それよりも当時のアップル自身へ向けてのメッセージでもあった。自分たちのヒーローは誰だった のかを思い出させ、自分たちは何もので何をすべきかを思い出させるものだ。時として企業は自分たちが何者であるかを見失ってしまうから。幸運にも僕たち は目覚め、あるべき姿に戻ることができたんだ。

まさしく、今年2005年、Apple のあるべき姿が見えてきたのではないか。


下記の文章は、五十嵐 進氏 編著「これから始めるCAD 応用編 MiniCAD7対応」のChapter 7 アトリエを訪ねて(ユーザー事例紹介)の原稿として、1997年の秋に書いたものである。題名は Apple にあやかって「Think Different」としたのであった。

もうすでに7年以上もたった過去の話だが記録しておこうと思った。


Think Different

昔、AppleII が小さな事務所の真ん中に居座った。その前でずーっと夢想していたことが、今、全て現実のものとなった。20年、それはパーソナルコンピュータの歴史そのものといえる時間であった。メモリーは48k、そんなちっぽけな AppleII でもたくさんの可能性を想像しうる世界があった。

それから Mac、MacII その後のマックはもう名前も思い出せない。今、製図板のなくなった事務所の中は Mac でいっぱい、もちろん MiniCAD がメインのアプリケーションだ。現在稼働中の Mac は10台、それ以外にサーバーに1台、全てイーサネットで接続されている。出力は A4、 A3 のプリンター、A2 以上には HP のプロッターが用意されている。最近、イーサネットに SOHO が接続され、ダイアルアップではあるがインターネットに全ての Mac から高速に接続できるようになった。自分自身は2台のパワーブックを使っている。イーサにつながった Duo と古い 180、この原稿はそれで書いている。もう時代おくれの機械だがワープロやら軽い仕事には十分機能している。

ここまで完全に製図板をなくすことになるのには、それなりの時間とエネルギーがかかっている。7年程前、五十嵐氏に会い MiniCAD を知りMAD party に参加した。そこでの成員のノウハウは十分に啓発的であった。そんな状況の中で1994年「フォルクスハウス」という木造軸組パネル工法のプレファブ住宅システムを開発するのが事務所のCAD化の契機になった。それを担当するスタッフはまだ手で図面を描いたことのないような新人だけ、そして全てMac と MiniCAD でやることに決めた。6100 を2台、LC475 を3台用意し試行錯誤しながら短期間にプロジェクトを完成させた。全ての部材、部品の製作用図面、十数棟の試作住宅の図面、そして大部なマニュアルまですべて Mac だけで作り上げることができた。その時間に培われたスタッフの習熟度、書きかけの図面1枚にいたるまで現在の事務所のCAD化の基盤とすることができた。

事務所のCAD化は図面をきれいに早くという意識のレベルではなりたたない。まずは設計事務所としての実務、設計図書の制作、各種の書類の作成、事務所自体の管理にいたるまでのデジタル化をすすめねばならない。全ての情報を同一の扱い方ができる方法をとらねばならないのだ。その時、CAD化はそこにとどまらないことに気づく。

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大部分の事務所の実務は一軒一軒異なる仕事であろう。異なる担当者が製図板に向かって手で描いた図面はいかに上手に描かれていたとしても紙の上の事にしかすぎない。しかも担当者が事務所にいなくなったとたん事務所には今後発展させるべきなにものもない、ただ紙だけが残されているにすぎない。図面を手で描いていたそのままをコンピュータにおきかえるのがCAD化ではない。設計という行為自体の方法も変えることが可能なのだ。Mac によってフォルクスハウスというプロジェクトを進めながら自分自身の設計についての意識が変わったのを実感している。

現在、フォルクスハウス専用の「伏図キット」という MiniCAD のテンプレートを作りフォルクスハウスの設計者に配布している。各部材がシンボル化され伏図を作成すると同時にワークシート上に全ての部材数量リストが表示される。いわゆる木拾いができることになる。そして、シンボル化された部材に付加された3次元データによって画面上でフォルクスハウスの全体像を確認することができる。MiniCAD の利点を十分いかしたアプリケーションに仕上がっている。それをより発展させ設計自体、その全体をとらえられるアプリケーションへともっていきたいと考えている。

建築を MECCANO という組立玩具みたいなものととらえたいと考えている。コンピュータ内部にたくさんの部品を作りだす。それを組み立てた完成品や、半完成品まで。それをデスクトップ上で加工したり新しい部品を作ったりすればよいと考えている。子供の頃欲しかった MECCANO の大きなセットみたいの物なのだ。コンピュータはその部品をどんどん複製できるのだから無限大の MECCANO セットの箱なのである。

1997年 秋 秋山東一


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この原稿を書いた時点より LANDshipのインターネット環境は進歩した。

1998年3月より OCN economy の常時接続に変更した。事務所のウェブサイト www.landship.co.jp を運用するのに自社でサーバーを運用しなければならなかった為だ。
DNS MAIL WEB の各サーバーを事務所内に設置し本格的にインターネット環境を整えた。事務所全体のサーバーと合わせて4台のサーバーは実務を引退した 8500 1台、6100 1台、LC475 2台を使っている。(991130現在)


今、2005年、なんだか古い古いインターネット草創の時代、ネットの旧石器時代か。

Posted by @ February 6, 2005 10:17 PM
Comments

shin さん、どうもです。
古い話にコメントいただき恐縮です。この記事は2005年にブログエントリーということになりましたが、内容は1997年の様相ですから、まさしくネット旧石器時代......でありました。
OSX 10.5 時代のネットはどんなものですか、事務所全体が Wi-Fi になったんでありましょうか。

Posted by: 秋山東一 @ June 19, 2008 12:13 PM

AKiさん、どうもです
この記事が2005年、10年ごとにガラガラポンって感じで
OS10にて、安眠できるようになりました
苦労を苦労と思わせないのもMacのDifferentなところですね

Posted by: shin @ June 19, 2008 10:13 AM

こんなビデオがありました。
http://cm.math.uiuc.edu/~staffin/1984macintro.mov

Posted by: iGa @ February 8, 2005 10:19 AM

aneppe さん、ごぶさたしてました。
今、やっと Mac の世界が大きく伸びそうな機運になりましたね。
面白いと思っています。
www.apple.com を検索したら、Think Different は、ちゃんとありました。

Posted by: 秋山東一 @ February 7, 2005 09:41 AM

このキャッチコピーいいなぁと
今ごろしみじみ思って会社のパソコンの
壁紙は、Think differentと入っている林檎にしたばかり。
(パソコンは窓・・・)
MSの支援とか、苦しい時期もありましたが、あのコピーのころから上向いてきましたよね。

Posted by: aneppe @ February 7, 2005 09:12 AM