041109

DAIHATSU ダイハツ・ハイゼット

Car , Stencil

私の最初の車、ダイハツ・ハイゼットである。

1970年あたりだ。ダイハツ・ハイゼットという軽自動車のキャブオーバー型のバンで、私はバスと呼んでいた。

軽自動車って、その頃は、エンジン排気量 360cc で、長さ3m、幅1.3m、高さ2m以下という規格の車であった。所有するのに車庫証明もいらず、軽自動車は駐車場はなくてもいいというもんであった。中古で5万円で購入し全塗装してもらった。色はつや消しのダークグリーン、バンパーは白、塗装代は10万円だったという記憶がある。

軽自動車のミリタリーバージョンという意図なのだが、英軍の軍用色ダークグリーンを、タミヤのスプレーでブリキ板に吹きつけて色見本とした。仕上げはステンシルを制作「PULL」とか「FUEL 20L」とか、ダークグリーン地に白色で塗装しご満悦であったのだ。

daihatsu_1.jpg運転席・助手席の前開きのドアは、シトロエンの波板のバンと同じで、乗り降りしやすかった。

後部と横のドアも開き戸であるところが面白い。後部座席は折畳みでき、広い荷室になり便利で、模型を運ぶから貸してなんていう依頼もあった。日常的に使っていた。その頃は、どこでも路上駐車ができて気楽な時代であった。

全幅1.3mである。軽キャブオーバー車初の角型ヘッドライトがかっこいいのだ。ライトの間の四角い部分は換気口である。

daihatsu_2.jpg運転席と助手席のドアは後ヒンジの前開きで、suicide door 自殺(スーサイド)ドアという。これは、最近になって知ったことなのだ。

この車のこのドアも、程なく普通の前ヒンジの後開きのドアに変った。

aki's STOCKTAKING: suicide door


daihatsu_4.jpg全長は3mで、結構高さもあった。あの頃の軽のキャブオーバー型のバンとしては一番容量があったと思う。

後ろの道路に駐車している車、1970年頃の普通の道路の風景だが、右からブルーバード、ホンダのN3、同じダイハツ・ハイゼット、その後ろはカローラ......と思う。

daihatsu_3.jpg後部荷室のドアは、後部ドアと左側面のドアの二つしかない。今なら、後部ドアは上ヒンジのオーバーヘッドドア、側面ドアはスライディングが常識だが、その辺り、あの頃の限界なのだ。

最高速度は80km/hってところだったが、オーバーヒートして走り続けることはできなかった。だましだまし、東名。名神と8時間かけて大阪に出かけたことがある。

この写真は、妹と妹の子供たち3人を乗せて、大森から横浜にドライブに行く時の写真だ。


追記 051218

このダイハツハイゼットを手に入れたのは、あの天才、坂本正治氏の影響である。

1970年の大阪万博の三井館の展示の映像アーティスト、まだ30そこそこアーティストの一人として間近におられたのだ。
その頃、大阪出張から事務所の所長東孝光と帰ってきた羽田で、偶然ご一緒した。彼は駐車場に置いてあったご自身の車で、猛然と我々の乗ったタクシーを追い越していったのだ。その車がスバル・サンバーだった。
あの360ccのスバルの商用バン・タイプ、リアエンジンだからワーゲンのマイクロバスの軽、それがサンバーというわけだ。同じものが欲しくなった僕は近所の自動車屋に中古のサンバーを探して欲しいと依頼したのだ。

ところが、やってきたのはダイハツ・ハイゼットだった。そう簡単に出物のサンバーがあるわけではなく、軽のバンで出物を探してくれたのだ。とても程度が良くて、メカニックのおじさんが「これはいいよ」って言ってくれたので、ちょっと予定と違ったがこれに決めたのだ。

全塗装をお願いし、ステンシルなんぞで遊び、大阪にも出かけたし、なんたかんたと面白く遊んだ。
僕のあの頃の大事なお道具だったのである。

 ● aki's STOCKTAKING: 北緯40度線探検隊


追記 071213

このダイハツ・ハイゼットについて、1972年の建築雑誌「建築」の東事務所特集頁に書いた、書いた内容は恥ずかしいものだが、その時、挿絵として作ったダイハツ・ハイゼットの断面の線画はなかなかのものなのだ。

 ● aki's STOCKTAKING: 動く箱の発見


Posted by @ November 9, 2004 04:31 AM
Comments

ハイゼットという車が嫌いなわけではなく、その時の思い出が原因ですね。(笑)
N360(エヌサン)は、とっても良く吹き上がりました。もちろん手がしびれるほどの振動も伴いましたが・・・。
東名で男子高校生4人とキャンプ道具一式を積んで120kmでました。下り坂では、瞬間的に135kmまで出たと記憶しています。
僕の高校生活は、いつもN3と一緒でした。

Posted by: mukaegawa @ November 12, 2004 09:28 AM

mukaegawa さん、こんにちは。

このダイハツハイゼットをそんなに嫌いな人がいるとは思いませんでした。なかなかいい車でしたよ。
でも、今みたいに長持ちしませんでした。後輪が独立懸架という高級なメカが裏目で、そのゴム製のユニバーサルジョイントが壊れたのです。それに、車庫が入用なんてことになってやめたのでした。

N360はどうでしたか。レンタカーで兄貴分のN500を借りて東名を走ってみたことがあります。その最高速度なるものを試してみたかったのですが、ものすごい振動で、全ての景色が霞んで見えるくらいでした。

Posted by: 秋山東一 @ November 12, 2004 07:44 AM

ダイハツハイゼット、僕にとって特別な車です。
僕が16歳の誕生日に、横浜二俣川の試験場で運転免許試験を受けた車です。
当時流行のN360を買うことに決めていたのに、試験場の車はハイゼット。
見事試験に落ちて、3度目に合格しました。
うらみつらみのハイゼット。
神奈川県の試験場は、なんでN360で試験してくれないのか恨めしく思ったものです。
自動車学校もありましたが、そこはダサいヤツが通うところ。
運転に自信があるやつは、みんな一発にかけて挫折していました。でも、数千円で免許取りました。
みんな貧乏で、でも滅茶苦茶車が好きで、教習所に通えなかった。
だから、指折り16歳の誕生日を待って、試験を受けた・・・のに!
だから、僕はハイゼットが嫌いだ!

Posted by: mukaegawa @ November 12, 2004 01:08 AM

最近気になっているのはトヨタ・サクシードのバンです。何年かして中古が出たらイラク仕様みたいな艶消しサンドに塗って乗りたいなどと考えていました。今のバンはオートマ・エアコン、パワステ、パワーウィンドウ当たり前らしいですよ。
口ばかりの私は30年前に実行している心意気に負けました。

Posted by: kawa @ November 9, 2004 06:47 PM

これが、噂の万博時代のダイハツ・ハイゼットですか。5万円の車に10万円で全塗装することろにakiさんの心意気が感じられます。

Posted by: S.Igarashi @ November 9, 2004 09:37 AM