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玉ねぎの皮をむきながら

BOOKS

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昨年一年は、初めて経験する変な年……だった。

徐々にコロナコロナと……、日常が縮まっていった。永い梅雨、暑い夏……、年が改まっての2021年もコロナコロナは持続中、ますます……かな。

2020年は、第2次世界大戦が終了して75年周年という記念すべき年であった。

4年にわたってロシアの地で繰り広げられた独ソ戦も5月にドイツの降服で終了、9月には二発の原爆によって日本降服で全てが終了した。

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そんなこんな、コロナコロナの家こもりは、読書、映画、工作の日々……なのだが、このギュンター・グラスの自伝というべき「玉ねぎの皮をむきながら」は、一番感じ知ることの多いものであった。

図書館から借りて読んだのだが、その後、古本をゲット……、今、手元にある。初めてのギュンター・グラスだが、文学とか文芸への興味ではない。


帯にある文言「私はナチスの親衛隊員だった」という、本書で初めて公表され、世界的に物議を醸した事実への興味だったのだ。

彼が1944年の戦争末期、17歳の時に WAFFEN-SS 武装親衛隊に志願して入隊したという事実なのだ。

1945年2月にドイツ国境に迫るソ連軍を迎撃する第10SS装甲師団に配属され、またたくまに撃破されてしまい、かろうじて生き残って敗残兵として戦場をさまよう羽目に陥る。

その後、異なる戦闘で戦傷し病院へ、米軍の捕虜となる。


追記 210119

1月12日、半藤一利氏がお亡くなりになった。

昭和、先の大戦についての氏の書くものが読めなくなったのは、大きな痛手だ。

私は「ノモンハンの夏」「日本のいちばん長い日」から、宮崎駿との対談やら、いろいろ読んでいるが、氏の15歳での戦争体験、東京大空襲は大いに感銘を受けた。

aki's STOCKTAKING: 15歳の東京大空襲

この半藤氏とギュンター・グラスが同世代であることに気がついた。半藤氏は1930年生まれ、ギュンター・グラスは1927年生まれ……、高校一年生と三年生だが、その戦争体験は大いに違う。

1945年春、同じ時期に、半藤や東京大空襲を逃惑い、ギュンター・グラスは一兵士としてソ連軍に脅かされる戦場を逃惑っていたのだ。


追記 230122

「太陽の帝国」のエントリーに書いたが、丸谷才一の「ゴシップ的日本語論」の一編「文学は言葉で作る」という講演録に、戦争小説について三編の小説を選ぶならとして、その三編をあげている。

大岡昇平の「野火」、ハシェクの「兵士シュヴェイクの冒険」、J.G バラードの「太陽の帝国」を上げている。ハシェクのは知らないが、後の二つは自伝である。

ギュンター・グラスのこの自伝も、大いに優れた戦争文学といえるのではないかと思う。


Posted by 秋山東一 @ January 19, 2021 10:43 AM | TrackBack (0)
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