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SFを実現する

BOOKS

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SFを実現する 3Dプリンターの想像力
講談社現代新書

著者: 田中 浩也


ISBN: 978-4062882651
出版: 講談社

定価: 907-円(税込)



日本における FabLab 運動 の中心人物、田中浩也氏の新著だ。

氏自身が云っておられることだが、FabLife から二年、さらなる思考の深化として本書がある。

今、「モノづくり」の世界は急速に進化しつつある。3Dプリンタに代表されるデジタル工作機械とインターネットによって、SF、空想科学小説の話題でしかなかった「物質遠隔転送」や「機械としての自らを生み出す機械」等々が、ある意味……、現実化しているのだ。まさしく、表題のままなのだ。

しかし、氏は表題のSFは二重の意味を持たせている。

Social Fablication という意味を重ねてくるのだ。ファブリケーションをあえて「こしらえる」という大和言葉をあてる。Social Fablication は「みなでこしらえる」という世界なのだ。

今、ネットでつながった我々が、こしらえること……、その全体像を解き明かしていくのが本書なのだ。「3Dプリンタはまだ序章でしかない!」


目 次
    まえがき モノとインターネット

第1章 SFとFAB --空想から現実へ

第2章 メディアとFAB --情報から物質へ

第3章 パソコンとFAB --「つかう」から「つくる」へ

第4章 地域・地球環境とFAB --グローバルからグローカルへ

第5章 「ものづくり」とFAB --工場から工房へ

第6章 デジタルとFAB --そして「フィジタル」へ

第7章 日本とFAB ー過去と未来をつなぐ

    リアル・バーチャリティ あとがきに代えて
    「偶然の一致」について
    謝辞


今、氏の周りには「3Dプリンタで何ができるんですか」「それは世の中をどう変えるのですか」等々の質問でいっぱいだ。「3Dプリンタでピストルを作った」となれば、「3Dプリンタは危険」ではないかと案じる……というのが世の中だ。

表題にある「3Dプリンタの想像力」……、「想像力」こそ Social Fablication 「みなでこしらえる」という世界に必要なことなのだ。

Posted by 秋山東一 @ June 15, 2014 06:14 AM
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