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地球を生きる 【上巻】

BOOKS

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一語一絵 地球を生きる 【上巻】
―地球上の富めるものと貧しきものとの対立

著者: 岩崎 駿介

ISBN: 978-4750338415
出版: 明石書店
価格: 2,100-円(税込)

著者・岩崎駿介氏は藝大建築の先輩である。私が入学した時、4年生に在籍されておられ、一年生の私は氏の卒業制作のお手伝いの任にあたるという名誉にあずかることになったのだ。

4月の秋山設計道場第9クールの3回@つくばの際、駿介氏と美佐子夫人、お二方による自立建築である落日荘を見学することができた。多くの道場生にとって、それは大いなる衝撃であった。

その時、氏は意気軒高……、本書がまもなく上梓されることを話されていた。

藝大建築科はボザール的な建築の学校であるが、卒業後、建築を離れた世界に身を投じる人が結構いる。岩崎駿介氏もその一人である。

氏はアフリカ、ガーナ共和国で建築を教え、ハーバードで都市計画を学び、横浜市で都市計画家として活動された。その後、筑波大学で教鞭をとりながら、開発途上国援助のNGO、NPOの指導者として活躍されたのだ。

2001年から、茨城県石岡市の八郷の地に住みながら、ご自身の自給自足の基地を構築、住いとしての落日荘を建設中である。

本書は氏の思考の集大成として「地球を生きる」上下二巻で刊行された。この【上巻】は、「地球上の富めるものと貧しきものとの対立」と題された、氏の「世界の理解、そして世界へのアプローチ」というべき一冊なのだ。


目 次
はじめに
第1章:地球上の富めるものと貧しきものとの対立
    内に憂い、外に患い
    アジアのスラムを知る
    スラム住民
    彼らの名誉のため
    村を訪ねる
    豚肉を食べれば
    私たちは、他国の人に迷惑をかけている
    熱帯林破壊
    カンボジアの悲劇に触れる
    救援か、それとも蹂躙か
    未だ悩めるソマリア
    エチオピアの飢餓
    建築から都市へ、農村へ、そして地球へ
    世界のものさし
    各地域における問題
    地球環境破壊
    人口の変化
    大きな身体に、小さな心
    倒れかかった木に咲く花
    現代先進工業国都市の不安
    解決の方向性
    都市をどうするか
    しかし、市民はなかなか生まれない!
    国境を越える市民参加
    これからの私たち
    自立基地の建設を目指す
    仮説「環境破壊をなぜ止められないか」
    宇宙の中の太陽と地球
    なぜ、地球だけに生物がいるのか
    世界で一番「豊かな心」を持った人たち
    心をもっと豊かに!
第2章:facebookで日々、考える
    ガーナ北部地方
    エチオピアの村々
    エチオピア・マーシャへの道
    飢餓と飽食
    同じ日に経験したもう一つの風景
    自給自足する・・・カンボジアの農夫
    カンボジアは、貧しいのか豊かなのか?
    カンボジア首都・プノンペンの朝
    日の出を待つ人々
    一日の始まり
    今日も、朝早くから、牛を引いて畑に出る
    カンボジア・・・この豊かな大地!
    誰もいない夕暮れの海
    バングラディッシュの農村
    バングラディッシュ農村の風景
    下半身は、どこへ行った?
    私たちは動物園のサルではない!
    アイスクリームを美味しく食べる!
    原子力政策円卓会議
    朝日新聞シンポジウム・・・国境を越える市民
    枠をぶち破って、風景に参加
    スリランカ・コロンボの夕暮れ
    都市は魔物
    ラオスの見事な森林生態系
    シェアします/憲法9条とバーチャル・ウォーター
    私たちの生活とアウンサン・スーチー
    グローバリゼイションと職業安定所
    現代の悲劇
    老人二人
    リヤカーとトラック
    天国と地獄
    みんなと公平に生活したい!
    フィリピンから来たバナナ
    S君から、野菜をたくさんもらった!
    その掛け算、おかしいぞ!
    私たちの心と身体の健康について
    山が笑う
    競争と共存
    資本主義という「競争原理」
    国が物質的に豊かになるとは?
    大きなお盆の上で・・・
    自然農法…わら一本の革命
    私とミミズ
    深く息を吸って
    帰り道・・・デンセンに留め置かれた月
    景気・不景気とは何か
    地球環境問題と南北問題
    西洋近代をバイパスする
    原発をどうやって止めるか!
    Mさま・・・原発について!
    「変わる」とは、なにか?
    原発と南北問題
    何と言おうか?
    オバマとロムニー
    2012年の衆議院選挙
    サッチャー夫人
    対話・・・Dialogue
    我思う、ゆえに我あり!
    あとがき
    出典と注釈

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本書の書名に「一語一絵……」とあるように、文章と絵・図が混在し、ビジュアルに読ませる本となっているのだ。

「地球上の富めるものと貧しきものとの対立」と題した第1章、そして「facebookで日々、考える」と題した第2章の二つの構成だが、第1章は氏の理論と思考の記述、そして第2章は、Facebook という今様の仕掛けの中での双方向のやりとりを通して、氏はその理論を展開していくのだ。

氏の考えを、このようなビジュアルな書籍で読める……ことがうれしい。

帯にある「モノでなく 心をグローバル化しよう!」なる言葉、まさしく、今の世界を理解し行動しようとしている多くの方々に読んでもらいたいと考えている。

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一語一絵 地球を生きる 【下巻】
―私たちは「空間」をどうとらえ、どう作るか!

著者: 岩崎 駿介

ISBN: 978-4750338422
出版: 明石書店
価格: 2,100-円(税込)

Posted by 秋山東一 @ July 15, 2013 09:48 AM
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