一語一絵 地球を生きる 【下巻】―私たちは「空間」をどうとらえ、どう作るか! 著者: 岩崎 駿介
ISBN: 978-4750338422
出版: 明石書店
価格: 2,100-円(税込)
岩崎駿介氏のご著作
「地球を生きる」の上巻を紹介したが、続いて下巻である。
この下巻では上巻「地球上の富めるものと貧しきものとの対立」の社会学的なテーマとは打って変って、「私たちは「空間」をどうとらえ、どう作るか!」の副題通り、建築的、都市計画的なテーマ「空間論」が主題だ。
上巻の紹介の中で、氏を藝大建築科出身者として異例な……と記述したが、ある意味で間違い……、氏は実に正統的な都市計画家であり建築家、デザイナーであるのだが、それにもまして実践者なのだ。
本書の第1章「落日荘のいま」で、2001年から始め、今もって自力建設中の「落日荘」の全てが語られる。ある意味、それは作品としての落日荘であるのだが、その構想過程、そして松籟計画まで「環境建築」としての形が語れていく。
第2、3章は、氏のデザインの底流を流れる思想、設計理論が語られていく。
第2章は氏の横浜市での都市計画を下敷きに「空間をどうとらえ、どう作るか?」、そして、未来を見据える為の思考、第3章「空間意識を探る」とつながる。
やぁ、岩崎駿介氏は疲れをしらない……のだ。
目 次
はじめに
第1章:落日荘のいま
落日荘の地球的位置について
落日荘の風水的位置について
落日荘の建設過程
ビニール小屋
いよいよ、これから木工事!
「環境建築」とは何か?
落日荘が、「環境建築」であることの条件
コメづくり
茨城県旧八郷町、朝の風景
第二期工事の進み具合
落日荘、これからの計画
落日荘の構造について
よく、言ってくれたぜ!
落日荘・・・私たちは、何を作っているのだ!
第2章:空間をどうとらえ、どう作るか?
イメージの獲得
「見る」ことは、「意志の力」なり
意味の世界
スジコと遊ぶ
旅をして、眼を鍛える
都市デザインの真髄
「狭い」という価値の復元
袋小路について
一周遅れの住宅団地
今後、どのような空間質を作っていくのか?都市の「擁護すべき価値」
景観について
時空を超えたシンボルを探そう
予期せぬ出会い
一人二役
聞いてほしい話
横浜・山下町 海岸通り
第3章:空間意識を探る
空間意識
アフリカン・ドラム
光らない海
光る海
二つの異なる自然環境
東西を分けるもの
星の文明と山の端文明
東洋と西洋
人の表情
街と建物
4世紀にわたる記念すべき四つの建築
西洋の空間意識
日本人、太平洋を独占する!
中国の空間意識
天と奥(西洋と日本)
螺旋
地球の大きさと日本の位置
世界都市間の移動距離
未来への光は、見えるか?
日本人の空間意識
あとがき
出典と注釈
帯には「建築・都市・農業・森林を学んで
地球未来をデザインする! 若者よ、「イメージ」を獲得して「行動」に出よう」なる言葉がある。
岩崎駿介氏は優れた一人の専門家としてだけ存在するのではない、宏大な専門領域を駆使する大いなる運動家として存在しているのだ。
そして、今もって行動し先導されようとしているのだ。
★
そこにいるのは、半世紀以上前に藝大建築科でお会いした岩崎さん、そのものなのだ。
一語一絵 地球を生きる 【上巻】―地球上の富めるものと貧しきものとの対立著者: 岩崎 駿介
ISBN: 978-4750338415
出版: 明石書店
価格: 2,100-円(税込)
Posted by 秋山東一 @ July 16, 2013 11:02 AM