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人間の土地

BOOKS

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人間の土地

著者: サン=テグジュペリ Antoine de St-Exupery
訳者: 堀口 大學

ISBN: 978-4102122020
出版: 新潮社
定価: 580-円(税込)

もちろん読んだ記憶はある……きっと、高校生の頃だ。その文庫本は、どこかにあると思うが……、見つけられる訳ではない、まぁ、amazon で注文して手にしたのだ。

急に手にしたくなったのは、一つの文章を探してみようと思ったのだ。

A designer knows that he has achieved perfection not when there is nothing left to add, but when there is nothing left to take away.
「設計者というものは、付け足すものが何もなくなった時ではなく、取り去るものが何もなくなった時、初めてそれが完成したことを知る。」 Antoine de St-Exupery

この文章を初めて読んだのは、日本語であったのだが……何の本だか忘れている。そして英文からの訳文として REVOLUTION in The Valley の中一頁に、ものを作るための名言集という形であったのだ。

今回、この言葉を一つの格言として使ってみようと考え、その文章の出処、サン=テグジュペリが、どこで言ったのか書いたのかを調べてみようと思ったのだ。英文で Google 検索したところ教えてくれているサイトがあった。

Antoine de St-Exupery の代表作 Terre Des Hommes、その英訳版 Wind, Sand and Stars からの出典とのこと……、ならば邦訳版「人間の土地」……堀口大學訳を、もう一度手にすることにしたのだ。


目次
  序
1  定期航空
2  僚友
3  飛行機
4  飛行機と地球
5  オアシス
6  砂漠で
7  砂漠のまん中で
8  人間
  訳者あとがき
  空のいけにえ/地図   宮 崎 駿
  年譜

ありました……、第3章「飛行機」63頁に、その文章はあった。
堀口大學訳によれば「……完成は付加すべき何ものもなくなったときではなく、除去すべき何ものもなくなったときに達せられるように思われる。……」である。

本書のカバーの絵は宮崎駿だが、本書の解説「空のいけにえ」も氏によるものである。
人類の飛行機の発明、1903年のライト兄弟の初飛行から、第1次世界大戦、そしてサン=テグジュペリの郵便飛行、そして第2次世界大戦、たった40年の時間、空に憧れた青年達の死を「飛行機の歴史は凶暴そのものである」とまとめている。


追記 091228

私の建築専門ブログである BeV Standard のカテゴリー[学問]に、「BeV Standard | I learned.......... /3」として、このサン=テグジュペリの言葉を加えた。
堀口大學訳「人間の土地」の日本語では、主語もなく格言としては相応しくなさそうだ。ここは、やっぱり仏語の原書にあたらねば……と思っているのだ。

BeV Standard | I learned.......... /3


Posted by 秋山東一 @ December 28, 2009 12:04 AM
Comments

飛曇荘さん、どうもです。
今手もとの「人間の土地」は Amazon マーケットプレイス 100-円也のものなのですが、宮崎駿のカバー絵のものです。
奥付には、昭和30(1955)年4月10日発行/平成10(1998)年10月15日61刷改版/平成12(2000)年4月5日65刷とあります。
1970年の旧版「人間の土地」には、宗亭さんの少年時代の輝き……を感じますです。

Posted by: 秋山東一 @ December 29, 2009 07:35 AM

手持ちの63頁は、4「飛行機と地球」で、ア・レ・レ・です。前へ戻って51頁でようやくみつけました。

促音もISBNもない旧字旧版(1970年の18刷、¥120)は、今や紙面もセピア色がかりました。

Posted by: 飛曇荘 @ December 28, 2009 11:32 PM

光代さん、どうもです。
こいつ一冊だけ持って……ヨーロッパ3週間……、かっこいい…。
これってサンテグジュペリが39才の時出版されたものなのですね……かっこいい……ですね。
今回、再読してみようと思います。光代さんも……どうぞ。

Posted by: 秋山東一 @ December 28, 2009 05:10 PM

娘が 3週間ほど ヨーロッパを回ってきました。
唯一持っていった本がこの「人間の土地」です。
もう表紙も取れたと言っていました。

砂漠で遭難した時に、むしろ自分の事を心配する家族や友人達のために生還すべきだと考え、「僕らこそが救助隊だ」と自分を鼓舞して生還したと言うエピソードを聞いて ウルルと来てしまいました。
人は 人のためになら自分の限界を超えられるのですね。

akiさんも 好んで読まれるとなったら、本を読まない私でも 読まなくっちゃ!と思います。

Posted by: 光代 @ December 28, 2009 10:16 AM