官僚亡国 | [ BOOKS ] |
官僚亡国 軍部と霞が関エリート、失敗の本質
著者: 保阪 正康
ISBN: 978-4022506221
出版社: 朝日新聞出版
価格: 1,680 -円(税込)
「石油がないから対米戦争は避けられない」という論理は、「財源がないから増税は避けられない」という論理という財務官僚の論理とあまりに似ているので慄然としてしまう……、日本型組織の致命的欠陥に斬りこむ……という新聞広告に反応して、書店にてゲットしたのだ。
現代の記録者たる保阪正康が多くの月刊誌に寄稿した文章を集めた著述集というべきものであった。第一部と第二部の構成されているが、第一部が旧日本軍内部の問題、第二部は皇室問題がメインで、本書の書名たる「官僚亡国」は第一部の第一稿、文藝春秋2008年11月号に掲載の「官僚亡国論—陸軍と霞が関エリートの失敗」だけという……ところだ。
少々、羊頭狗肉の感あり……というところだが、短編集の書名が、その中の一遍の題名であることはよくある事……と思えばいいのか。
第一部 官僚と戦争
官僚亡国論—陸軍と霞が関エリートの失敗
旧日本軍以来の「情報(インテリジェンス)軽視」を克服せよ
もうひとつの二・二六事件 —広田弘毅内閣誕生と陸軍の専横
阿南惟幾陸相自決の真実
瀬島隆三が最後まで隠そうとしたこと
あやうい保守言論の「内実」 —諸君! それでも正論か
厚生官僚刺殺と五・一五事件
「昭和史検証」の原点 —死なう団、五・一五から東條英機へ
第二部 皇太子と秋篠宮
秋篠宮が天皇になる日
「秋篠宮が天皇になる日」をなぜ書いたか
父と子「宿命の相克」—皇太子が「天皇」を自覚する日
天皇家三代「決意の時」—それぞれの四十四歳
皇太子への手紙 —小泉信三の覚悟と想い
太平洋戦争下の「勅語」の研究
あとがき