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建築家は住宅で何を考えているのか

Architecture , BOOKS

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建築家は住宅で何を考えているのか
PHP新書 545

東京大学建築デザイン研究室 (編)
著者: 難波 和彦/千葉 学/山代 悟

ISBN: 978-4569701974
出版: PHP研究所
価格: 1,470-円 (税込)

本書の表題は何か人を食った感じだが、建築家が作った住宅はどんな考えに基づいているのか.......、東京大学建築デザイン研究室の難波和彦教授、そして千葉准教授、山代助教という三人の建築家が、その諸相を記述したのが本書だ。
お三方の内、難波和彦氏はよく存じ上げているが、他のお二方は初見.....、難波教授のスタッフであるからして頭脳明晰な方々なのであろう。


01から10までの10個のテーマにそって、41の建築家の設計した住宅が紹介される。そして、それら全てに共通の現代の住宅の問題が明確化されていくのだ。


目次
理念なき住宅に明日はない  安藤忠雄
建築家が考える住宅  難波和彦

01 家族像とプランニング
 箱の家001  難波和彦
 葛飾の住宅  山本理顕
 NT  渡辺真理+木下庸子/設計組織ADH
 スペース・ブロック上新庄  小嶋一浩

02 ライフスタイル
 屋根の家  手塚貴晴+手塚由比、池田昌弘
 上原の家  みかんぐみ
 森山邸  西沢立衛
 調布の集合住宅A・B  西沢大良

03 集住/かたち
 欅ハウス  花田勝敬
 熊本県営保田窪第一弾地  山本理顕
 MESH  千葉 学
 東雲キャナルコート CODAN2街区  伊東豊雄

04 街/風景
 egota house A  坂本一成
 ミニ・ハウス  塚本由晴+貝島桃代/アトリエ・ワン
 T-set  千葉 学
 日本橋の家  岸 和郎

05 工業化と商品化
 OMNI QUARTER  北山 恒
 Be/412g22  秋山東一
 船橋のミニ戸建開発C・D棟  篠原聡子
 桜上水の集合住宅  Hi-ROOMS 桜上水A・B  谷内田章夫

06 リノベーションの可能性
 「ゼンカイ」ハウス  宮本佳明
 アビターレ表参道  堀部安嗣
 RE-KNOW 東日本橋  馬場正尊/Open A Ltd.
 鎗屋アパートメント  中谷ノボル

07 エコロジカルな住宅
 相模原の家  野沢正光
 アシタノイエ  小泉雅生/小泉アトリエ+メジロスタジオ
 ニラハウス  藤森照信+大嶋信道
 高知・本山町の家  小玉祐一郎

08 素材/構法
 箱の家083  難波和彦
 紙の家  坂 茂
 PLASTIC HOUSE  隈 研吾
 Springtecture びわ  遠藤秀平

09 ちいさな家
 梅林の家  妹島和世
 T house  藤本壮介
 江東の住宅  佐藤光彦
 ナチュラルエリップス  遠藤政樹+池田昌弘

10 住みつづける家
 世田谷村  石山修武
 住居No.22  内藤 廣
 塔の家  東 孝光
 住吉の長屋  安藤忠雄
 ヒルサイドテラス  槇 文彦

むすびとして 住宅が担うべきもの 千葉 学


41戸の住宅、その一つ一つは固有の「全体」を持っている。本書では、その「全体」を語ることなく、その一つ一つの特徴的な性格をもって分類され、その局面において語られていく。それは住宅全体の問題は、その個々の共通の問題として捉える事に成功している。著者達が、そこに現代の住宅の問題をあぶり出しているのだ。

「05 工業化と商品化」の一つとして、Be-h@usBe/412g22」が取り上げられている。オープンな工業製品としての住宅の可能性が語られている。

現代の住宅について関心のある多くの方々に読んで欲しいと考える。特に、設計者が小さな視点に留まることなく、大きな視野を獲得するのに有効なのではないかと考える。

Posted by 秋山東一 @ October 8, 2008 02:02 AM
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