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パンツの面目ふんどしの沽券

BOOKS

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パンツの面目ふんどしの沽券
ちくま文庫

著者: 米原万里

ISBN: 978-4480424228
出版: 筑摩書房
価格: 672-円(税込)

先日のエントリー「ロシア 闇と魂の国家」で、やはりソ連・ロシア通の故・米原万里が著者お二人の共通の友人であることを知った。惜しい方をなくしたものだ。

書店で「もっとも米原さんらしい本!」…と没後に評される..........なるコピーの付いた帯を見つけ手にとった。単行本として刊行されていたものが、文庫本として出されたのだ。

抱腹絶倒&禁断のエッセイ.........なるコピーが付け加えられていたが、まさしく、面白くて為になるお話、満載であったのだ。

このようなお話は、やはり「下ネタ」というのであろうか、彼女のソ連・ロシア通の面目躍如、好奇心の赴くまま縦横無尽に下半身に装着するモノが語られるのだ。まずは、彼女の少女時代のプラハ・ソビエト学校の家庭科での裁縫の授業が「パンツの製作」だったことから始まる。


目次
 1章  四〇年来の謎;
 2章 よい子の四つのお約束;
 3章 ルパシカの黄ばんだ下端;
 4章 紙という名の神;
 5章 パンツとズロースの相違;
 6章 『友誼』印のズロース;
 7章 禁欲と華美と;
 8章 伝統との訣別;
 9章 羞恥心の迷宮;
10章 羞恥心の誕生;
11章 なんとも物珍しく面白い光景;
12章 イエス・キリストのパンツ;
13章 複数形の謎;
14章 イチジクの葉っぱはなぜ落ちなかったのか;
15章 男の領分なのか(その1);
16章 男の領分なのか(その2);
17章 男の領分なのか(その3);
18章 NKVDの制服からハーレム・パンツまで;
19章 パンツは馬とともにやって来たのか?;
20章 タイツにまつわる二つの悲劇;
21章 日本民族の精神的支柱;
22章 フンドシをめぐる罪深い誤訳か?;
23章 モンゴル少女の悔し涙;
24章 乗馬が先かパンツが先か;
    主な参考資料
    言い訳だらけのあとがき
    解説 ”永遠の少女の”のライフワーク 井上章一

最後に付け加えられた「主な参考資料」を見るだけでも、本書がこの著者ならでの教養とエネルギーによって書かれているのが分かるのだ。

14章の「イチジクの葉っぱはなぜ落ちなかったのか」で、彼女の通っていたミッション系の幼稚園で、「創世記」のアダムとイブの話を紙芝居で見た園児達は興味津々、課外、皆で本物のイチジクの葉をどうやって身体に止めるのかを実験することになる。セメダイン、糊、セロテープ.........。

まぁ、本当はヘアピンで止めていたという事は、園児達の想像外であったであろう。


Posted by 秋山東一 @ July 2, 2008 01:01 PM
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