070611

安房峠

Event , Place

[+] 安房峠の頂上標高1790m、ここから飛騨に下っていく。前方は乗鞍岳である。

昔、といっても十年前夏、信州松本から安房峠を超えて飛騨高山近く数河の高山建築学校に行ったことがあった。細い道をうねうねと上っていくのはなかなかスリリングな体験であった。

その年1997年の12月に安房トンネルが開通したから峠越えの最後の夏だったことになる。
今ではそんな峠越えの苦労もなく、冬期の閉鎖もなく、安房トンネル(全長5.6km)によって信州と飛騨が繋がっているのだ。

6月8日、上高地を出て安房峠の旧道を、宗亭さんの車で上った。


物見遊山で安房峠を目指したのではない、ちょっとした森林官の宗亭さんのミッションがあったのだ。

上高地インフォメーションセンターの所長から一つの背負子が宗亭さんに託されたのだ。その背負子には一斗缶と思しきブリキ缶、そして幾つか穴の開いたアルマイトのお盆の蓋、ガムテープでぐるぐる巻きにされているのである。その中にはイタチが一匹入っているとのことなのだが、さて、何であろうか。

このイタチ、冬期の間、雪に埋もれていた涸沢ヒュッテでただ一匹越冬したイタチとのことであった。備蓄しておた食料を食い荒らしておったらしいが、捕獲され地上に運ばれてきたとのことであった。本来はヘリコプターで下山させるところ、最近の事故で便がなく、人の背によって下山とのことであった。どちらにしても贅沢な話しだ。

そして、その罪を赦されて国有林内に放免されるとのこと、それが安房峠の頂上付近であったのだ。

itachi_0.jpg

itachi_2.jpgブリキ缶の中からは、うんともすんとも......気配がない。イタチならぬイタイではどうしようもないなぁ。

itachi_1.jpgいたいた。こんな顔した奴だ。
この写真を撮った途端、あっという間に飛び出して茂みに消えてしまった。

itachi_3.jpgそして、誰もいなくなった....だが、このブリキ缶は急造のワナだったようだ。

これで。ミッションは終了したのだ。めでたしめでたし。


こいつをイタチと言ってしまったが、テンだというのが、関係者一同の統一見解ということになったらしい........と、宗亭さんからのメールで知ったのであった。このようなミッションの事を「放獣」というらしい。

Posted by 秋山東一 @ June 11, 2007 08:17 AM
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