060213

前川國男建築展

Architecture , Event

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東京駅ステーションホテル喫茶室で打合せした後、同じ駅舎構内にある東京ステーションギャラリーで開催中の「モダニズムの先駆者 生誕100年 前川國男建築展」によった。

生誕100年・前川國男建築展
会期:2005年12月23日(金・祝)~ 2006年3月5日(日)
会場:東京ステーションギャラリー (東京都千代田区丸の内1-9-1)
開館時間:平日10:00~19:00/土・日・祝10:00~18:00
入場料:一般800円/大高生600円/中小生400円

昔、子供の頃、木造の新宿紀伊国屋を見た記憶がある。吹き抜けの中二階のある大きな空間は、子供心にも、これは特別のものなんだと理解できた。通りから路地状のアプローチ、キオスクのような雑誌類を扱っている小さな建物があったような気がしたが......と記憶している。今回大きな模型で登場している。

前川の数々の公共建築物が並んでいるが、私がもっとも惹かれたのは木造量産型住宅「プレモス」である。「プレモス」という名前はプレファブの「プレ」に、前川のM、構造の協働者の小野薫のO、そして製作会社の山陰工業のSで、MOS「モス」とのことである。

戦後すぐの1945年に設計が始まり、翌年にはその第一棟が完成、1,000棟も建設されたそうだ。展示されている図面・写真類、新しく作られた大きな1/10模型、CGによるアニメーションでその全容を知ることができる。その部材、パネルは細かい材を組み合わせ立体トラスを構成する独特の設計、これを製作した山陰工業は戦中、木製飛行機を製造していたという話で納得だ。
このプロジェクト、コルビュジェの弟子たる前川にとって、師のシトロアン CITROHAN が念頭にあったものであろう。ジャン・プルーベの6mx6mのプレファブ住宅と同時期の仕事だ。この「プレモス」のモジュールはメーターであったことも大きな発見であった。プレモス7号型は5mx15mなのである。前川が木造在来工法の延長上に「プレモス」を構築していないところ、コルビジェ仕込みのモダニストとしての面目躍如というところか。

先日の「吉村順三建築展」の吉村順三とは違う軌跡を描きながら、建築界の巨匠として歩んできた。吉村とはレーモンド事務所で机を並べた間柄だ。作風は異なっても、日本の建築を作り出してきた二人の建築家の航跡を見ることができたのは幸いである。

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会場で販売されている公式図録(2,500-円(税込))は320頁もの立派なものだ。前川の卒業設計から、コルビュジェ時代、レーモンド時代の初期の作品から現代まで、充実の内容だ。

展覧会は来月3月5日まで、急がねば。


● MADCONNECTION: 生誕100年・前川國男建築展

Posted by 秋山東一 @ February 13, 2006 12:48 AM
Comments

double face-d さん、はじめまして、こんにちは。
ロマンスカーで箱根、それも最新型のVSE-50000型で、いいすね。私も、ふらっと行きたくなりました。
ところで、VSE-50000型のデザインには随所に建築的なデザインとか、監修したのが建築家・岡部憲明氏だそうですね。それも又、乗りたくなりました。

Posted by: 秋山東一 @ February 21, 2006 03:22 PM

はじめまして。コメントは初めてですが、時々お邪魔していました。
素敵な文章と読みやすい内容、いつも楽しく拝見しています!
建築には全く縁のない私ですが、素敵な建物は素直に好きです。
またお邪魔させてくださいませ。

Posted by: double face-d @ February 21, 2006 12:20 PM

neon さん、初めまして、こんにちは。
masa さんのところで始めてですが、ずっとコメントを拝読していました。なんだか「初めまして」という感じがしません。お描きになる絵も、何かリリシズムを感じ....きゅんとなります。
先生と言われるほどのもんではありません。ぜひ、AKi とだけおっしゃってください。
新ブログにも伺いました。たくさんの皆さんで大にぎわい、面白くなりますね。まずは、よろしくお願いいたします。

Posted by: 秋山東一 @ February 16, 2006 09:29 PM

Aki先生、こんにちは。初めてこちらにお邪魔致します。neonと申します。masaさんのところに伺うようになってこちらへも来ておりましたが、ずっと自分のブログもないのにコメントするのは失礼では・・と思っておりました。ようやく拙いながらつくりましたので、こちらにもコメント書かせて頂きます。
今日私もやっと前川國男建築展行ってきました。建築家のドローイングがとても好きで、いつもそのきれいな線に感動するのですが、今日はスケッチブックが沢山展示されていて、とても愉しめました。色々馴染みのある建物が登場して、神奈川県立音楽堂などは、小さい頃よく行ったところです。とても荘厳な感じがして、中にはいると別世界のような気がしていました。東京カデドラルの前川さん版があったのもとても興味深く見てきました。
ステーションギャラリー自体、とても好きな場所です。(ステーションホテルも)。落ち着く貴重な場所ですよね。クラシック、と言う言葉がぴったりですね。

Posted by: neon @ February 16, 2006 02:13 PM

Kstyle さん、こんにちは。
トラックバックでエラーがでたので、できなかったと思っていたのですが、よかったよかった。
紀伊国屋書店は子供の頃の記憶があるだけで、その後、行ったことはあるはずなのですが、今の建物になるまでの記憶がありません。

Posted by: 秋山東一 @ February 14, 2006 07:48 AM

トラックバックありがとうございました。
木造の紀伊國屋書店は、展覧会で初めて拝見しましたが、
とても素敵な佇まいで、当時、本に飢えていた読書家たちが
集う風景が浮かんでくるようです。

Posted by: Kstyle @ February 13, 2006 11:23 PM

花田さん、どうもです。
今日は、「プレモス」と「新宿紀伊国屋」という、戦後すぐの前川の二つの木造の仕事に夢中になってしまいました。僕の「新宿紀伊国屋」の記憶では「緑色」というのが記憶にあるのですが、これは何かと混同しているのかも知れません。
模型制作、大変でしたね。ずいぶんたくさんの学生の皆さんが参加されていますね。

Posted by: 秋山東一 @ February 13, 2006 02:05 AM

秋山さん、ご無沙汰しています。
紀伊國屋書店の模型を担当した神戸芸工大の花田です。
アプローチの部分についてですが、おっしゃるとおり、実際にはいろんなお店が建っていて、模型のような状態ではありませんでした。
とくに、戦後すぐにはバラックが建ち並んでいたようです。新宿区の博物館にある当時の写真でも確認しました。有名なパースのような綺麗な風景ではなかったわけです。
カタログの解説文にも書きましたが、実施設計図の意匠図にはアプローチの長い壁が描いてあるのですが、構造図の基礎伏図では最前列から15尺までと明記してあり、その落差が可笑しかったです。
ただし、模型は前川さんの構想を示すべく、パースに描かれた風景を再現した次第です。

Posted by: 花田佳明 @ February 13, 2006 01:28 AM