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星の王子さまの眠る海

BOOKS

実は幸福書房で池澤の「星の王子さま」を買った時、一緒に並んでいたこいつも買ってしまった。

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星の王子さまの眠る海 Saint-Ex La fin du mystére

エルヴェ・ヴォドワ/フィリップ・カステラーノ/アレクシス・ローザフェルド/著
香川 由利子/訳

ISBN: 4789726118
出版社: ソニー・マガジンズ
価格: 2,100-円(税込)

もちろん中味を見て買っているんだけれど、この書名と表紙の絵とは原書の内容とは関係がない。「サンテグジュペリ=星の王子さま」ではないんだが、今回の「星の王子さま」新訳ブームにあやかって本書を売ってしまおうという.......な魂胆なのだ。

原書の題名は Saint-Ex, La fin du mystére である。「星の王子さま」の著者であるサンテグジュペリの最期、その事実が解明されていく過程のドキュメンタリーなのだ。

285018960X.jpgSaint-Ex サンテックこと、アントワーヌ・ド・サンテグジュベリ少佐は、1944年7月31日、ドイツ占領下フランスへの偵察飛行へコルシカ島の基地をロッキードP-38ライトニングで飛び立ち、帰投することなく消息を絶った。

戦後、その最期について諸説あり、1992年には組織的な捜索活動が行われたが何も発見することなく終った。

1998年、マルセイユの漁師がトロール漁の網の中に銀のブレスレットを発見する。その銀のブレスレットにサンテグジュベリの名前を発見、それも彼の飛行コースから大きく外れたマルセイユの近海なのだ。その発見は彼の乗機を探そうという新しい活動を生み出すと同時に、そのブレスレットの真贋論争まで引き起こすこととなる。
発見者たる漁師、海底探索会社の経営者、歴史家、新聞記者、写真家、ダイバー達のグループ、そしてサンテグジュベリの相続人との争い、その後、2003年、そのロッキードP-38ライトニングらしき残骸、それも極く一部のばらばらの残骸が引き上げられた。たしかにそれは、彼の乗機のP-38/F5Bの特長を持っていた。しかし、それだけではサンテグジュベリの乗機とは断定できない。だが、それはできたのだ。

残骸の一つ、過給器が取りついた桁に 2734L の刻印があったのだ。それはロッキードP-38ライトニングの写真偵察機 F5B-1LO のロッキード社の製造シリアルナンバー(2703~2812 Lは左翼の意味)であったのだ。

それは彼の乗機だったのだ。2004年4月7日、それは公式に発表された。
しかし、なぜ、どうしてそこに、彼の死の謎はそのまま残されたままなのだ。

サンテグジュベリってでかい人だったみたい。写真があるけど、P-38 の操縦席の彼はとても窮屈そうだ。飛行服を自分自身で着られないし搭乗するのにも手伝いがいるくらい身体は痛んでいたそうだ。それでも、彼は飛行したかったのだ。
チョコレート工場の秘密」の原作者としてもうちょっと脚光を浴びてもいい Roald Dahl ロアルド・ダール(1916 - 1990)はハリケーン戦闘機乗りだったけれど、やっぱり戦闘機乗りには不適なでかい人だったらしい。「単独飛行」にそんな記述があった。

Posted by 秋山東一 @ October 3, 2005 02:39 AM
Comments

Antoine de Saint Exupéry の日本語表記っていろいろあるのだが、どれが正しいんだろうか。特に「=」を使っているのって、ジャン=ポ−ル・サルトルなんてのもあって......である。

サンテグジュベリ
サン・テグジュベリ
サン=テグジュベリ

Posted by: 秋山東一 @ October 3, 2005 10:18 AM