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東京生活 no.8「代々木上原」

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東京生活 no.8「代々木上原」



ISBN: 4777904083
出版: エイ出版

定価: 880-円(税込)

now and then さんのエントリーでこんな本が出ているのを知った。

代々木上原にはもう25年近くも住んでいる。お隣の代々木八幡に住んでいた時間も一緒にしたら、もう人生の半分以上をこの辺りをうろうろしていることになる。

1972年、渋谷区富ケ谷、山手通りの内側、井の頭通り沿いの「道端マンション」に住んだのが、この辺りとのつきあいの始りだ。道端にあるからそんな名前がついたのではない。道端(みちはた)さんという方がオーナーだったのだ。
最寄り駅は小田急線の代々木八幡駅、代々木上原から新宿寄りの一つ手前だ。
ちょうどその頃、地下鉄千代田線が開通した。最初は千代田線の終点は代々木公園、小田急線・代々木八幡駅に乗り換える人が地上にでてきて、通勤時は大いに賑わったのであった。その中間にあった焼鳥屋(味鳥と書いて「みどり」という店名....だったと思う。焼鳥よりも煮込豆腐で有名だった)も大いに賑わい、終点が代々木上原に延びるまでの束の間のバブリーな時間であったのだ。

その「道端マンション」から、1981年2月、山手通りを越えて上原2丁目に引越してきた。
最寄り駅ということでいえば、小田急線・代々木八幡と千代田線・代々木公園、そして代々木上原である。しかし、代々木上原にでるには一山越えてという位置関係から、平らに行ける代々木八幡が常用である。

代々木上原はそんなに有名な駅ではなかった。上原、大山という閑静な住宅街の最寄り駅、小田急線の車窓から見えるイスラム寺院(昔の、建替え前の)で知られるくらいなのだ。芸大2年の集合住宅の課題の敷地が、そのイスラム寺院の敷地に想定されているという事があって、芸大の建築科の生徒にとっては、ちょっと親しかったかもしれない。
小田急線と交差する井の頭通り(水道道路とも言った)は、その頃、やっと二車線という細い道が環七と山手通りの間をつないでいた。そんな井の頭通りも、山手通りから大山町の交叉点まで大きく拡幅され、環七まで完成するのも時間の問題だ。
その道沿いに新しい建物、店舗も増えたが、この広くなった井の頭通りでこの辺り一帯が大きく分断されたのも間違いない。

そんな時間の中で、井の頭通り沿いの鬱蒼たる緑に囲まれた古賀政男邸も、いろいろ問題のある JASRAC古賀政男音楽博物館に化けた。あの豪邸の面影はそのお隣の東高ハウスの石畳に見ることができる。
イスラム寺院も「東京ジャーミイ」として建替えられ、金色の尖塔を輝かせている。
9時ちょっと前、代々木上原、井の頭通りは JASRAC に向かう役人風情とアメリカンスクールのバスを待つ外国人の子供達が出会う、そんな街なのだ。

東京生活 no.8 特集「代々木上原」は、代々木上原・代々木八幡・幡ヶ谷・初台と、東京オペラシティから代々木公園まで、大きく広く「代々木上原」で括ったものだと思う。いろんな情報てんこ盛りだが、「この街は”深夜営業”の本の街」の記事がいい。
ここに紹介されている「幸福書房」は、僕の知る限り昔から何も変わらない、小さな店舗だが、そこにはいつも欲しい本がある。そして、初めて知ったのだが、毎晩0:30まで開いている本屋なのだ。

Posted by 秋山東一 @ September 28, 2005 10:23 AM
Comments

井上知久さん、はじめましてこんにちは。
ずいぶんと思い出深い場所なのですね。私にとって、あの場所の記憶は東京オリンピックの選手村の時からです。

Posted by: 秋山東一 @ May 9, 2009 09:38 AM

昭和28年から31年9月までの3年間Washingoton HeightsのYES(Yoyogi Elementary School)にてアルバイト(夜は青学大に通っていた)し、お陰で生きた英語と接する毎日を送ることが出来た。 ワシントンハイツ内部ではコカコーラ。ヴァイヤリースオレンジなども当時の日本国内で買う値段の3分の1ぐらいで買うことが出来た。 勤務は8:30~16:30までで、お昼には当時日本では気安く食べられないような学校内の食堂のものが、無償でサービスされた。 そこで英会話の実力も養われ、後に、1967年アメリカにて駐在で、ニューヨークで家族とともに生活した環境がワシントンハイツのアメリカ村と変わらなものであることを実感した。 今も、当時の先生達や日本人同僚の皆さんで生きておられる方々との友好を保っている。 40年以上むかしのことである。 懐かしいその場所は、代々木公園となっているが、どのように変わっているか行ってみたいと思っている。    井上知久
2009年5月8日、

Posted by: Sam INOUE @ May 8, 2009 07:31 PM

線路の反対側にもう一軒ありました。今はガードの下にもっと大きな本屋さんもあります。どんどん大きな本屋さんが増える中で、小さなお店ですが行くと欲しい本がちゃんとある。品揃えには売り場面積の他に何かセンスのようなものがあるんだと、あそこに行くと思います。

Posted by: kawa @ October 3, 2005 07:37 PM

ひさしぶりの幸福書房で池澤夏樹/訳の「星の王子さま」を買い求めた。
他の書店では買い求める気にならないのに、幸福書房では......どうして買う気になるのかを考えた。

もちろん、あの狭い店舗での目利き店主の品ぞろえという理由はあるが、それよりも、あの狭さにあるのではないだろうか。本との距離が近い、非常に近い、本の訴求力が強く感じられるのではないだろうか。

Posted by: 秋山東一 @ October 1, 2005 11:38 AM

raizo さん、コメントありがとうございます。

幸福書房に建築雑誌系が充実しているのは、私のせいではありませんが、この辺り、建築設計者がわりと多いような気がします。

Posted by: 秋山東一 @ September 30, 2005 06:22 AM

代々木上原〜代々木八幡周辺の昔と今の様子、興味深く読ませていただきました。(私はまだ寄り道歴10年ぐらいです)

本日もMacPeopleを買いに、幸福書房に寄り道してきたところです。
そして、秋山さんの代々木上原での25年、偶然にも幸福書房の25年とピッタリ重なりますね。お店に建築関係の雑誌が充実しているのも、多少ならずとも関係あるのでしょうか?

Posted by: raizo @ September 29, 2005 08:24 PM