050618

小さな家

Architecture , BOOKS

五十嵐さんが MADCONECTION で TV 放映を紹介された「ル・コルビュジエ『小さな家』」、そういえばあの本持っていたよなぁ、と探してみた。

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小さな家 UNE PETITE MAISON

ル・コルビュジェ/著 森田 一敏/訳


ISBN: 4785101105
出版社: 集文社
価格: 1,575-円(税込)

その家と同じように、小さな80頁のとても可愛らしい本だ。建築家ならば誰でも自分の設計した家でこんな本ができたら、なんて思うんじゃないかしら。

この「小さな家」は、コルビュジェが老後の両親のために、レマン湖畔に建てた60㎡の家のことだ。
コルビュジェ自身の文章によってその計画が語られ、建物の数多くの場所の写真によって、それを語る。そしてデッサンがある。

ある小さな家
小さな家
住宅も、また百日咳にかかる
1945年のデッサン
罪状

この「小さな家」が建てられたのは1923年〜1924年、彼の近代建築史に確固たる地位を築くなることになる近代建築五原則、工業化住宅シトロアン、高名なるサボア邸等々の先駆けとなる小住宅なのだ。
この住宅に対するコルビュジェの思いは深く、この住宅を計画した30年も後に本書を作ったことで良く分かる。

ここで彼が語るこの住宅についての記述はすべからく簡明にして具体的だ。

計画の諸条件。その第1の条件は、太陽が南にあること(ありがたいことだ)。さらに山並みを背景に、湖が南に向かって広がっていること。また、東から西にかけて見渡せば、湖とそこに映えるアルプスの山々が君臨していること。こうした条件はこの家の設計方針を決定している。つまり奥行きは4mしかないが、南に面して長さ16mの正面をもつ家が横たわっている。その正面にあるただ一つの窓は、11mもの長さがある(私は"ひとつ"の窓と言ったのだ)。
第2の条件、それは”住む機械”であること。つまり最小限の実用性が得られるように、適切な寸法をもつ簡明な機能に分かつこと。さらに、空間が有効に活用できるように、それらを効果的に組織すること。各機能は許される限り最小の面積を充てること。その結果、床面積は合計54㎡になった。最終案では、この家は平屋建てで、あらゆる通路を含めて延べ床面積60㎡におさまった。

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追記 070422

Google Earth の衛星・航空写真の精度が上がって、この La petite maison も確認できるようになった。

aki's STOCKTAKING: La petite maison


Posted by 秋山東一 @ June 18, 2005 12:32 PM
Comments

mitsubako さん、どうもです。
ぜひ、吉村順三展もご覧になっていただきたいと思います。実際の建物を見ることは、月並みに「百聞は......」ですが、住宅となるとなかなかそうはいきませんね。私は行ってませんが、このコルビュジェの「小さな家」は見ることができるようですね。

Posted by: 秋山東一 @ December 6, 2005 01:12 AM

こんにちは。ようやく、この本を買いました。これから読んでみようと思っています。シンプルですてきな本ですね。
吉村さんの建築も先日、日曜美術館で拝見しました。住む人の心を考えられた、また職人気質のまなざしにも共感をしました。実際の建築物を見てみたいなと思ったりします。

Posted by: mitsubako @ December 5, 2005 11:15 AM