050621

タイニーハウス

Architecture , BOOKS

ちょっと前の AERA に、最近ではちっとも異常さを感じなくなった段ボールハウスを調べた建築学生の記事があったが、そのスケッチや断面図はなかなかすてきなものであった。

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TINY HOUSE タイニーハウス—小さな家が思想を持った
ワールド・ムック—Living spheres vol.8


著者: レスター・ウォーカー
訳者: 玉井一匡・山本草介

ISBN: 4846523780
出版社: ワールドフォトプレス
価格: 1,600-円(税込)

我が国の住宅が「兎小屋」と言われて久しいが、そんな小さな住宅をTiny Houses として外国の方に教えていただくのも恥ずかしいが、「狭小住宅」なぞと貧しい呼称でそれらを呼んでいるのでは豊かな物にはなりそうもない。
本書の副題「小さな家が思想を持った。」は余計だが、小さな家を思想を持って見直すことはできるだろう。

ここにあるタイニーハウス、小さな住宅・小屋はすばらしい。又、それらを紹介してくれる本の作り方も特筆ものである。

40数点の小さな住宅は、きちんと分類され学究的な視点を感じるが、筆者の建築家としての特性が活かされている。その歴史、その工法、それらを決して堅くなることなく、一つ一つのタイニーハウスを紹介するのに必要な情報、ディテール、チップスにいたるまで自由自在である。

1)歴史上のタイニーハウス x12
2)移動するタイニーハウス x5
3)パネルのタイニーハウス x5
4)紙と布のタイニーハウス x3
5)用途限定のタイニーハウス x5
6)道ばたのタイニーハウス x5
7)アートとしてのタイニーハウス x3
8)自然の中のタイニーハウス x5

各々のタイニーハウスには、丁寧に描かれたアイソメ(isometric projection の略)がある。1/96(1'=1/8")の縮尺で手描きされた原図を、出版し際して全て共通の縮尺で縮小している。アイソメの特性としてその絵から縦横高さをスケールで読み取ることができる。

本書の翻訳は、あの「シェルター」に引き継いで、玉井さんの仕事だ。
先日の世田谷美術館での「Be-h@us展」での玉井さんのプロジェクトは、玉井さんのタイニーハウスというべきものだ。

僕もBe-h@usによるタイニーハウスを作ってみようと考えている。

Posted by 秋山東一 @ June 21, 2005 05:28 AM
Comments

秋山さん、ご関心いただき、ありがとうございます。
そう急ぐ話でもないので、まずはブログでポツポツと妄想を書き綴って行こうと思ってますが、
いざ具体的に動き出したら、色んな方たちのアドバイスを受けながらということになっていくんじゃないかと思ってます。
そのときには間違いなく秋山さんのご意見も伺うことになろうかと思いますので、今のうちに「宜しくお願いします」とコメントしておきます(笑)

Posted by: m-louis @ July 14, 2005 12:31 PM

m-louis さんの諏訪のご領地をどのような形で活かすのか、他人事ながら注視しております。
今度はクライアントのお立場から変って、セルフビルダーのお立場で物を捉える、これも面白いのではないでしょうか。期待いたしております。

Posted by: 秋山東一 @ July 12, 2005 11:17 AM

またしても訳語反応してしまいますが、
「小屋」まで含めて「タイニーハウス」と呼んでしまうのはいいですね。
私はこれまで「小屋」を辞書そのままに「shed」「hut」あたりから引いてました。

諏訪の自分名義の宅地に自力で小屋を建てようと目論んでる者にとっては必携の本のようです。

Posted by: m-louis @ July 12, 2005 02:00 AM

御無沙汰しております。玉井事務所元所員大隅です。
誠に恐縮ながらトラックバックさせていただきました。

小生も「狭小住宅」なる単語、「LDK」同様、嫌悪感を抱いております。

正直、シェルターやタイニーハウスのような良質突出な本が世に拡がるといいなあ〜と純粋に思い自身のブログでエントリーしました。

Posted by: osm @ June 21, 2005 11:59 AM