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ダライ・ラマ自伝

BOOKS , MECCANO

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ダライ・ラマ自伝 The Dalai Lama of Tibet
文春文庫

著者: ダライ・ラマ
訳者: 山際 素男

ISBN: 4167651092
出版社: 文芸春秋
定価: 660-円(税込)

突然、ダライ・ラマに興味がわいてきた。

チベット問題、仏教に、というわけではない。彼がダライ・ラマ13世の生まれ変わりとされ、14世として教育を受けることとは、どういうことであったのか、あのような傑出した人物、宗教家であり政治家がどうやって登場したのか知りたかったのだ。

生まれ変わりの捜索と選定は、呪術的な手法そのものだが、その時3才のダライ・ラマが知ることもない、その神秘的な登場を支える合理的な知恵が働いているのではなかろうか。

彼の少年時代の回想に次のような記述があった。

-------- 玩具がたくさんあったという点で、わたしはとても幸せな子供だったろう。小さい頃、インドとの境にあるトロモという村の役人が、外国製の玩具を、季節にはリンゴと一緒によく送ってくれた。他にもラサに来るいろんな外国使節からもたびたびプレゼントされた。なかでもわたしがいちばん気に入っていたのは、ラサにオフィスのあるイギリス通商使節団長がくれた”メカーノ”--金属製組立式玩具--のセットだった。大きくなるにしたがい、たぶん15才の頃にはいちばん簡単なのからいちばんむずかしいのまで数種類のメカーノ・セットをすべて手にしていた。 --------

この「メカーノ」というのは、もちろん、メカノ MECCANO のことだ。
ダライ・ラマも、メカノ MECCANO で遊んでいたのだ。ソニーの創始者、井深大のメカノで遊んだ子供時代が有名だが、あの秘境チベットにメカノがあり、それで遊んだ少年がいたのだ。

「ダライ・ラマも遊んだメカノ」って宣伝すればいいのに、なんて考えてしまうけれど。
彼が遊んだメカノは英国製だった。今はメカノの会社はフランス、作っているのは中国なのだ。チベットと中国との関係を考えると皮肉な変化だ。

現在、イラク戦争とアラブ、回教とその原理主義に眼がうわばれているが、1959年に始った共産主義国家中国のチベット侵攻、今、勃興する中国に併呑されつつあるチベットを忘れるわけにはいかない。チベットの人口600万人に対し、既に700万人の中国人が全土に移住しているそうだ。

Posted by @ September 30, 2004 08:25 AM
Comments

いま、よんでます。
ダビンチコードのあとは、仏教かなって唐突もなく考えて・・・
まだ20ページしか読んでいませんが、これからが楽しみ。自分の考え方変わるのかな?

Posted by: のり @ July 3, 2006 12:48 PM

「セブンイヤーズ・イン・チベット」、しっかりと見ていないのですが、ダライ・ラマがあんなにしっかり記述しているんですから、僕が監督なら映画にメカノを登場させますね。
もう一度、「セブンイヤーズ・イン・チベット」を見てみよう。

Posted by: 秋山東一 @ October 1, 2004 08:51 AM

映画の「セブンイヤーズ・イン・チベット」で
機械いじりの好きなダライラマの姿が描かれていましたね。
チベットはインドと交流があって
インドは英国の植民地でしたから
英国製のメカノがダライラマの手元にあっても不思議ではないかもしれません。

Posted by: furu @ September 30, 2004 04:04 PM