まことの徒然草 | [ Architecture , BOOKS ] |
昨年亡くなられた奥村昭雄先生の夫人である……、まぁ、同志というような間柄だったから、表現として相応しくない感じではある。
藝大建築の大先輩の建築家という感じで接していて、近くにいて、時々お会いすることができるところにいると、その凄さや偉さを忘れてしまうのだ。
そのまことさんの本、B5判……ほんの50頁の小さな本だ。
本書の成立ちは、「定木」なる女性建築技術者の会の会報に2009年から2010年にかけて13回にわたって連載されたものだそうだ。
「まえがき」に、その成立ちと、奥村まことについて本書の発行者・東(ひがし)由美子氏が書かれている。「まことさんは女性建築家としては草分け的存在で、とてもユニークな方です。……」と書かれているが、ユニークと簡単に括られる人物ではない。
奥村(旧姓戸塚)まことは1930(昭和5)年生れ、1953年東京芸術大学美術学部建築科卒業、吉村順三設計事務所入所、1954年藝大先輩の奥村昭雄と結婚、吉村事務所19年間勤務の後、独立、奥村設計所設立、後に木曽三岳奥村設計所となる。
私がまことさんに感じるのは、戦前・戦中・戦後と続く昭和の上質な家庭・教育環境で育まれた教養、昭和の上質な教養なのだ。そんな育ち方をした建築家なのだ。
1 雑草元年
3 庭農業
6 ハムレークン
10 ゲバラの兄貴
14 替え歌
17 いらないものはいらない
22 医学生のみなさまへ
26 ジャムとジェリー
30 入り隅物語
34 OM10話
38 いぶし瓦について
44 建て替えスルナカルタ
48 〈私は〉
本書の「入り隅物語」には、空間を視る卓越した眼を持った建築設計者を、「いらないものはいらない」「OM10話」「いぶし瓦」には建築を科学的に捉えている建築家、「庭農業」「ハムレークン」には農を極める農学者の目を感じる。
「ゲバラの兄貴」や「替え歌」「建て替えスルナカルタ」には一所懸命遊ぼうとしているまことさんがいる。
そして最後の「〈私は〉」には三人のお名前が、羽仁もと子、吉村順三、戸塚武彦(父上)とご本人に大きな影響を与えた人……として語られる。
最後の頁の絵「夢の中で勤務していた設計事務所」を見て、うれしくなった。男勝りのまことさんも、なにか乙女チックなところがあるのだ。夢のなかでも事務所勤務……長年勤めた吉村事務所がよっぽど好きだったんだなぁ。
「まことの徒然草」が頒布されることになりました。一部送料込み600-円、代金は郵便振替による後払いです。
下記メールアドレスに、お名前、送付先の住所をお知らせください。
● makotono@citrohan.sub.jp
飛曇荘B さん、どうもです。
まことはまことでも、つじ違い……すじ違い、奥村まことです。それに女性だし……。……了解です。
小生にも入手方法ご教示下さい。
(「まことの……」を眼にしたとき、辻まことのあらたな原稿が発掘されたのかとおもってしまいました。)
Posted by: 飛曇荘B @ October 1, 2013 07:44 AM小川さん、どうもです。
この本は、発行者の東(ひがし)さんが頒布されるとのことでなのですが、価格500-円と送料なのですが、どう徴収して誰が送るのか……決っていないようですね。
決り次第、お知らせします。
秋山様、いつもたのしく拝見しております。ところで本書は出版社が記載していませんが、販売はしていないのでしょうか?
Posted by: 小川真樹 @ September 30, 2013 06:33 AM