石川初 | ランドスケール・ブック ― 地上へのまなざし | [ BOOKS ] |
氏に対して妙に親しさを感じるのは、私たち仲間の JEDI の活動と並行してあったスリバチ学会や、氏のブログ「身辺メモ」をよく読んでいたことにある。
氏はランドスケープデザイナー、ランドスケープアーキテクト……であるが、それもデジタルなお道具を駆使する造園家……というべき人なのである。
「今和次郎「日本の民家」再訪」は、まだ読んでいないが、本書を……、初めて手にした氏のご著作……、大変面白く見ているのである。
第一章 地形のスケール
等高線の彩色、地形を擦りだす地図/アナログなデジタル化ーコンピューター模型
平野の由来
モザイク地形ー地面の都市化/ニュータウンの丘陵/構造物の「地形認定」
地面の年輪 ほか
第二章 地図のスケール
地図のルール、地面のルール/地下鉄の地図、インフォグラフィクス、皇居の表示
路線図がもたらす都市の地理感覚/鉄道と道路ーつり革の都市と実空間
ナビゲーションとマッピング/日常のログ、地面の記録/GPSログの逸脱/ネコログ
時層地図ー現在地、、現在時間/ダイアグラムと地理ーバスの路線図 ほか
第三章 時間のスケール
地質学的時間感覚/温室が作る時間/園芸の楽しみー時間芸
植物の「時差ボケ」が映し出す、遠い原産地の季節/ソメイヨシノの時間
音声散歩「15分前の街」/時層写真/時間の単位、時間の形/ブランコの時間性 ほか
第四章 境界のスケール
境界を持った領域としての「水平の床」/地球上のさまざまな「水平」
外部から見た都市/生け垣ーたゆまぬ境界の維持
私道の論理ーオープン外構を支えるクローズド街区
都心の里山ー原宿駅の林縁部/ベンチの周辺性/乗り換えのバリア ほか
第五章 庭のスケール
都営スタイル/パーソナル・ナショナルガーデン/裏庭のコミュニティ
植栽基盤単位としての植木鉢/原風景の陥穽/7人の小人問題
ガーデニングー自然との終わりなき葛藤と屋外空間の「最適化」
「人工地形」が封印する土地の歴史/森という「外部」 ほか
略歴
本書は「現代建築家コンセプト・シリーズ」の第一冊だそうだが、本の作り方が面白い。それが本シリーズ共通の仕掛けなのか、本書だけのものかは知らないが、時間軸を除いたブログそのものなのである。
各コンテンツは各々独立、大小、高低等々は意識されずに、章立てによって括られる。これはカテゴリーによって括られたエントリーの数々……というブログそのものなのだ。これは、氏のコンセプト群を披瀝するのに相応しい仕掛け……ではないか。
ふと、これは、石川初氏の「在庫品調査」……、STOCKTAKING なんだと思ったのだ。
これはブライアン・イーノの1970年代後半から1980年代前半に掛けてリリースされたアンビエント・シリーズのLPジャケット(地形図がモチーフに使われている)を彷彿とさせる表紙デザインですね。
Posted by: iGa @ October 6, 2012 10:16 PM石川さん、ごぶさたです。いい本ですね……、実に軽やかで若々しい。
一度、近々……、先輩でランドスケープデザイナーである内藤恒方氏の展覧会のオープニングパーティで……なんてどうですか。14日午後4時下北沢です……。直接連絡します。
ありがとうございます!頂いた最後の一行、鳥肌立ちました。ご指摘の通り、編集作業はまるで自分の在庫を「調査」するような気分でした。以前のニアミス時にお会いできず残念でしたが、ぜひ機会を得ましてお目にかかりたく思っております。
Posted by: 石川初 @ October 5, 2012 12:14 PM