120113

第九軍団のワシ

BOOKS

4001145790.jpg


第九軍団のワシ
岩波少年文庫 579


著者: ローズマリ・サトクリフ Rosemary Sutcliff
挿絵: C.ウォルター ホッジス C Walter Hodges
訳者: 猪熊 葉子

ISBN: 978-4001145793
出版: 岩波書店
価格: 882-円(税込)

岩波少年文庫を久しぶりに手にした。

大昔、本当の子供の頃、親に与えられて何冊かの岩波少年文庫を読んだ時以来かも……、岩波って何だか親が好きなブランドという感じであまり好きになれなかったのだ。

宮崎駿の岩波新書「本へのとびら――岩波少年文庫を語る」を手にして、彼の選んだ50冊の一冊に本書があったからというのも理由の一つだが、The Eagle という題名で映画化(日本では今春公開されるようだが……)されているのを知ったからなのだ。

----------

紀元117年頃、ローマの辺境ブリトン、エブラークム(現在のヨーク)に駐屯していたローマ軍のが第九軍団がカレドニア平定のため北方に進軍、その後消息を絶つという事件が起こった。それから1800年後、シルチェスター(かってのカレバ・アトレバートゥム)の発掘現場から翼のないローマ軍団のワシが発見された。

なぜ、北方に消えた軍団のワシが、ずずっと南のシルチェスターで発見されたのか……、その事実を基に一つのフィクションとして書かれたのが本書なのだ。


もくじ
   物語のまえに
1  辺境の砦
2  風にまう羽根
3  攻撃だ!
4  最後のバラの一輪が散る
5  サトゥルヌス祭の勝負
6  エスカ
7  ふたつの世界の出会い
8  ナイフを持った医者
9  参謀将校プラントス
10 出発の命令
11 国境越え
12 暁の口笛
13 消えた軍団
14 新しい槍つかいの祭
15 暗闇の冒険
16 落としたブローチ
17 荒野の追跡
18 忘れ河の水
19 トラデュイの贈物
20 別れの挨拶
21 オリーブの木の小鳥
   訳者のことば
   サトクリフの作品舞台を訪ねて 池田正孝

やぁ、面白かった。一つの謎解きを中心に、波乱万丈、ドキドキの展開、なかなかの冒険物語……なのだ。

ローマ時代、蛮族が住む地、イングランド、スコットランドに極々親しくなったものだ。宮崎駿が大昔の蝦夷地を舞台にこの本をアニメ化……と構想された話が新書にあったが、実現したらなぁ……と思わせるのだ。

そう言えば、宮崎が絵を描いた、ブラッカム……やらなんたら、も岩波書店製でしたですね。


追記 120113

そうそう、忘れていた。やっぱり、挿絵があるのがいいですね、少年向けは……。木版調の挿絵がなかなか品があるのでした。


Posted by 秋山東一 @ January 13, 2012 12:21 AM
Comments

袴田さん、こんにちは、ごぶさたです。
本書、初めてですが、 面白く読了しました。ずいぶんとお読みになっておられるようで……、先輩です。
先にコメントされた春さんも芸大ですが……、皆さんよく読んでおられますね。少年少女……で引けてしまうようでは、大人力が足りません。
今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: 秋山東一 @ January 13, 2012 08:23 PM

ご無沙汰しております。
このブログの隠れファンで黙って見ていましたが、我が意を得たりの投稿なのでコメントします。僕は昔から岩波少年少女文庫のファンで、子供の頃にアーサーランサムの「つばめ号とアマゾン号」シリーズ、これはハードカバーですが、を愛読してそれが今の自分に繋がってると思っています。自分のヨットの名前もシリーズの「海に出るはずじゃなかった」に出てくるGOBLIN/鬼号をもらっています。
サトクリフのこのシリーズも昨年読みました。予想以上に面白くていろいろな方に勧めていますが、概して少年少女と聞いた途端にあまり反応がよくありません。
先輩に向かって失礼ながら同好の士に会えてうれしいです。

Posted by: 袴田喜夫 @ January 13, 2012 03:11 PM

春さん、どうもです。
このシリーズ、初めてのものですから……。お話は興味津々なのですが、人名と地名で、なかなか捗りませんでしたですね。
他のお話も読んでみようと思います。

Posted by: @ January 13, 2012 08:59 AM

シリーズどれも好きですが、一番好きなのは『ともしびをかかげて』です。
サトクリフは『ケルトとローマの息子』(ほるぷ出版、原題OUTCAST)もいいですよ。

Posted by: @ January 13, 2012 08:21 AM