木の家に住みたくなったら | [ BOOKS ] |
「木の家に住みたくなったら」という書名にあるように「木造戸建て住宅」に、これから住んでみようという人たちを対象にした木造住宅入門書、それも絵本のように絵を中心に構成したものなのだ。
アパート暮らしの主婦のミシマさんが、気になっていた近所の古い平屋を訪ね、そこの住人、謎の外人、ルドルフ氏にお教えいただくというのが始まりだ。
第2話 木のことを知れば知るほど
いいことばかりはありゃしない !?
針葉樹にあって広葉樹にないもの
フローリングの「張ってはいけない」
代打、古材
第3話 わたしの家をつくるのは誰?
パートナー選びは一生の問題
間取りに王道なし。だけど…
木の家のお値段、おいくら?
アルミサッシを「木の窓」にできます?
USED でも OK
第4話 せっかくだから MADE IN JAPAN
9人中7人が助っ人外国人
木を植えた男より、木を切りまくる男
ソーセージだって肉である
どうせなら、いい木の家に住みたい!
彼の描く米国1950年代風の漫画は、米軍ハウスへの熱い思いの前書とは打って変わって、日本の木、日本の家を描くのにはちょっとバタくさ過ぎないかい……と思った。
まぁ、よくよく見れば、全編の語り手であるドイツ人・ルドルフ氏の住む家もハウス(いわゆる……)なのだ。そして、本書の描く家の理想像はハウスなのだ。
それはあってもよいか……とは思うが、ハウスは木造かもしれないが木と直接関係ない。本書で木のことを沢山知ることになるが、家のことはあまり学べない、絶滅危惧種であるハウスを知ることにはなるが……。
本書の最大の疑問は、家をエネルギー問題、環境問題と関係なしに語っていることだろう。
まぁ、木で家を作れば結果全てオーライではない……と考える。
Facebook にリンクをシェアという形でエントリーしたところ、古川さんからご意見をたまわった。それについて、それ以上言うこともないが、本書について考えるところはいろいろある。
本書は分かりやすい「絵本」の体裁をとっており、絵の比重は文章よりずっと重いのではないかと考える。
そこに見えるのはアラタ・クールハンド氏の描くハウス(米軍……)でしかないのだ。その家は木の家の一つであり、家としての面白さ、参考になる面は多々あるとしても、その環境的、エネルギー的な性能はどうだろうか……、それは戦後すぐの時代のレベルでしかないのだ。
やっぱり、「USED でも OK」なる章の「内覧のポイント」にある、「建具をチェック!ここもオリジナルパーツが多い方がバリューが高い」なるお言葉に、そういう目でしか家を見ていないんだ……と思わざるをえない。