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木の家に住みたくなったら

BOOKS

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木の家に住みたくなったら

著者: 木の家に住みたくなったら制作委員会

ISBN: 978-4767812298
出版: エクスナレッジ

価格: 1,680-円(税込)

本書の著者にあたる個人名はなく「木の家に住みたくなったら制作委員会」なる組織による著作とのことだ。そこに名を連ねる古川泰司氏のご手配によってお送りいただいた。

「木の家に住みたくなったら」という書名にあるように「木造戸建て住宅」に、これから住んでみようという人たちを対象にした木造住宅入門書、それも絵本のように絵を中心に構成したものなのだ。

アパート暮らしの主婦のミシマさんが、気になっていた近所の古い平屋を訪ね、そこの住人、謎の外人、ルドルフ氏にお教えいただくというのが始まりだ。


目次
第1話 木の家ほど素敵な住まいはない
    シンプルだけど贅沢
    イームズの家具で統一するなら
    やっぱり、地震には弱いの?
    でも、火事には弱いでしょ?

第2話 木のことを知れば知るほど
    いいことばかりはありゃしない !?
    針葉樹にあって広葉樹にないもの
    フローリングの「張ってはいけない」
    代打、古材

第3話 わたしの家をつくるのは誰?
    パートナー選びは一生の問題
    間取りに王道なし。だけど…
    木の家のお値段、おいくら?
    アルミサッシを「木の窓」にできます?
    USED でも OK

第4話 せっかくだから MADE IN JAPAN
    9人中7人が助っ人外国人
    木を植えた男より、木を切りまくる男
    ソーセージだって肉である
    どうせなら、いい木の家に住みたい!


本書のイラストは描いたアラタ・クールハンド氏は、本ブログでも取り上げた「FLAT HOUSE LIFE」の著者だ。

彼の描く米国1950年代風の漫画は、米軍ハウスへの熱い思いの前書とは打って変わって、日本の木、日本の家を描くのにはちょっとバタくさ過ぎないかい……と思った。

まぁ、よくよく見れば、全編の語り手であるドイツ人・ルドルフ氏の住む家もハウス(いわゆる……)なのだ。そして、本書の描く家の理想像はハウスなのだ。

それはあってもよいか……とは思うが、ハウスは木造かもしれないが木と直接関係ない。本書で木のことを沢山知ることになるが、家のことはあまり学べない、絶滅危惧種であるハウスを知ることにはなるが……。

本書の最大の疑問は、家をエネルギー問題、環境問題と関係なしに語っていることだろう。
まぁ、木で家を作れば結果全てオーライではない……と考える。


追記 111214

Facebook にリンクをシェアという形でエントリーしたところ、古川さんからご意見をたまわった。それについて、それ以上言うこともないが、本書について考えるところはいろいろある。

本書は分かりやすい「絵本」の体裁をとっており、絵の比重は文章よりずっと重いのではないかと考える。
そこに見えるのはアラタ・クールハンド氏の描くハウス(米軍……)でしかないのだ。その家は木の家の一つであり、家としての面白さ、参考になる面は多々あるとしても、その環境的、エネルギー的な性能はどうだろうか……、それは戦後すぐの時代のレベルでしかないのだ。

やっぱり、「USED でも OK」なる章の「内覧のポイント」にある、「建具をチェック!ここもオリジナルパーツが多い方がバリューが高い」なるお言葉に、そういう目でしか家を見ていないんだ……と思わざるをえない。



Posted by 秋山東一 @ December 11, 2011 11:23 PM
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