110506

二畳で豊かに住む

BOOKS , BeV Standard

4087205851.jpg


二畳で豊かに住む
集英社新書

著者: 西 和夫

ISBN: 978-4087205855
出版: 集英社
定価: 756-円(税込)

本書の帯には「みんな小さな家で豊かな生活をしていた」とあって、夏目漱石、高村光太郎、正岡子規、内田百閒の名前があがっている。さて、二畳で……「豊かに」……というのは、どういうことなのか、知りたくなったのだ。

以前、黒澤明監督の「まあだだよ」を観たことがあったが、そこには、戦後の焼野原に作られた内田百閒夫妻の小屋がでてくる。どう見ても、住家というよりは、何か映画のセットにしか見えなかったが……、実際にはどうだったんだろ。


目次
   はじめに―狭いながらも豊かな空間

第1章 内田百閒、二畳に夫婦で住む
      ―作家が語る小屋生活

第2章 高村光太郎の山小屋
      ―雪深い里で詩作にはげむ

第3章 永井隆の二畳の如己堂
      ―原爆の町で平和を求めて

第4章 多摩川渡船場二畳の小屋
      ―氾濫したら持ち運ぶ

第5章 夏目漱石・中村是公、二人の二畳の下宿
      ―予備門時代を語る漱石

第6章 正岡子規の病床六尺
      ―ふとん一枚、これが我が世界

第7章 四国、村はずれのお茶堂
      ―遍路たちの一夜の宿

第8章 建築家提案の最小限住居
      ―極小空間の特色

   おわりに―狭いながらも楽しい我が家


本書で、内田百閒の小屋は三畳で一畳分が押入れなので、生活空間としては二畳であることを知る。それも大きな屋敷跡の塀の中なのであった。映画でみた、なにかの舞台のような印象はまさしく映画のセットだったのだ。
二畳の空間は、全体の一部……の生活空間であるのだ。

本書の第一章は内田百閒、終章である第八章は「建築家提案の最小限住居」だ。ここに網羅されているのは、戦後すぐに建てられたり、提案された小さな住居の姿なのだ。うかつにも初めて知った早稲田の安東勝男教授の「小住宅」の提案、そして、池辺陽の「立体最小限住宅」、増沢洵の「最小限住宅」が紹介される。

本書は「二畳」という言葉にちょっと挑発されてしまったが、住宅は「無目的な空間」であるという至言を再確認したのであった。

Posted by 秋山東一 @ May 6, 2011 04:58 AM
Comments

まぁ、まぁって感じかな。読みよう……かな。

Posted by: 秋山東一 @ May 6, 2011 11:16 AM

二畳といういろいろな「宇宙」が楽しめそうで、是非手にとってみたい一冊です。

Posted by: たかさん @ May 6, 2011 10:03 AM