経度への挑戦 | [ BOOKS ] |
時は18世紀、ヨーロッパでは「大航海時代」を経て海洋交易が振興する一方で、多くの海難事故で数多の生命、財産が失われていた。それは航海において「正確な経度を測ること」の術がないことに起因していた。
1714年、英国議会は「実用的かつ有効な」経度測定方法の考案者に対し莫大な賞金を与えるという「経度法」が施行されたのだ。一等賞から三等賞まで、その誤差の精度によって賞金は異なっていた。まだ、ニュートン、ハレーの時代、そのコンテストはその時代の大いなる挑戦であったのだ。
その解決法の大勢は天文学による……であったが、精密な時計……クロノメーターを作ること……が解決法となってくるのだ。大工上がりのの時計職人、 John Harrison ジョン・ハリソンがそれを作りだすのだ。
謝辞
参考文献
訳者あとがき
時計という機械がこのようにして作られてきたのか。ジョン・ハリソンの H1, H2, H3, H4 という時計を進化させていく過程、天文学こそ経度測定の本命と信ずるアカデミズムとの闘い……手に汗握る……物語なのだ。
自分自身もクロノメーターの名前が小さく付いた腕時計 GMT MASTER を、朝、竜頭を引いて秒針を止め、時間に合わせるのを習慣としている。なぜ、機械でなければならなかったのか、機械式時計の紀元がこのような大事にあることを知ったのであった。
ちょっと、英国ロンドン・グリニッジ天文台に行って子午線をまたいだり、ミュージアムで 彼の作った時計、Harissons といわれる時計を見てみたい……と思ったのだ。
Posted by 秋山東一 @ July 29, 2010 10:12 AM玉井さん、どうもです。
私も同じく……こんなことを知らなかったのを驚きました。
我々が時差を調べるのにメルカトル図法の世界地図で経線上に時差を読んでいるわけだが、それと反対に時差が分かれば経度が分かる……ということだった。それには航海の時間に耐えられる正確な時計、クロノメーターが必要だったのですね。
経度0、それがグリニッジ天文台にある子午線……そこの時間がグリニッジ標準時……Greenwich Mean Time、そんな伝統を内蔵した24時間針を持った時計を使いながら……その所以、その歴史を知らなかった……、恥じるものです。
うーむ
我ながら驚きました。そんなことを知らなかったというか気づかなかったということにです。
・・・つまり、自分のいる場所の緯度は北極星、南十字星の位置でわかるけれど、緯度は時計が時計がなければわからないということ。
はずかしいというより、そういうことを知ってとてもうれしいなあ。いつだったか、時差ってうまい具合に一時間単位なんだということに気づいて、なぜだろうかと考えていたら、それぞれの国の時刻と標準時との差を一時間単位で決めたからだということにもう一度気づいたことがあって、とてもうれしかったことがあります。
あのときによく似たうれしさです。もっとも、時計のことはこのエントリーで知ったのですが。しかし、正確な時計がないときは、航海士たちはどうやっていたのかは考えてもわかりそうもない。
この本を読めばいい、ということですね。
しかし、インターネットがあると、疑問はすぐに調べられるから、こういう素朴な疑問のこたえに自分で出くわすという喜びがなくなるんでしょうね。