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JIELDE ジェルデというランプ/分解

Light

Jielde_lamp_1.jpg


1989年に手に入れた仏製のデスクランプだ。

ずっと使っていながら、実は、最近になって Jeldé なる名前を知ったのだ。

ずいぶんと見かけなかったが、ふと立ち寄った Conran Shop で、やや小型でカラフルなこれ……を発見した。そこの説明書きにメーカー名らしきものがあったのだ。そのうち調べて見ようと思っていたのだが、やっと最近になってネット上で Jeldé を知ったのだ。

それも、こいつの特徴が……、このランプの存在理由そのものであるデザインを知ることとなったのだ。

そんなことも知らずに20年以上も使っていたのか……と恥じ入る処大なり……だが、その設計の秘密を明かすべく分解してみたのだ。……そして、なるほど、愛い奴……と惚れ直したのである。

Jielde_lamp_2.jpg


これが、分解した全貌である。

Jeldé は1950年フランスのエンジニア Jean-Louis Demecq によって開発されたものだが、作業用可動式ランプの配線が作業の妨げになり、又、断線しやすいことを解決する為、配線のないジョイントを持つランプを開発したのだ。

コンセントに繋ぐプラグからコードは延びているが、その他にケーブルは見当たらないのだ。全てのジョイント部にはプラスチック製のプレートに同心円状に真鍮製の二つの接点が用意され、二つのジョイント部を波型に整形された燐青銅製のリングによって通電されているのだ。

こう拡げてみると、各パーツが明らかになる。

1.クランプ部
2.直交ジョイント部
3.アーム部 (40cm) ×2
4,ランプ部

その五つのパーツが同じジョイントによって接続される……それも、電気的接点ごとジョイントされる……その全てのジョイントに互換性有り……、優れたデザインって何も見せずに、こんなところにあったのか……感動したのである。

Jielde_lamp_4.jpg


これがアームのジョイント部だ。

ジョイントに仕込まれたプラスチックプレートは、白黒の別があり、雌雄組み合わせる形になっている。この二つのジョイントは真ん中で6mmのボルトで締まっているのだが、片方にネジが切ってあるので、白黒が一対となるのだ。

片方、黒側に二つのアームのアルミ部分が直接接して動くのを防ぐ為か、リングを介している。黒側に燐青銅の通電リングをのせている。この二つを真ん中でボルトをねじ込み、最後に袋ナットで締めればジョイントが完成である。

このジョイント部は十分な大きさで、ショートさせることない大きさに作られている。これは外観上にも大きな要素となっているように思える。

太いパイプのアーム、太い球形のジョイント部、その中にケーブルが入っている……と当たり前のように考えていた自分自身を恥じ入るのである。

この Jeldé を外観だけで判断していたが、分解して初めて、その優れたデザインは機構そのものにもあることを再確認したのである。


追記 100312

ダイキャスト(アルミ……、亜鉛合金……ではないかと考えるのだが)部品とスティールパイプを組み合わせたアームを見ると、ダイキャスト部分は結構粗い仕上げで、バリはついたままだが、ジョイントさせる部分はヤスリがけの跡があり、製作が手仕事であったことが分かる。

しかし、360°回転させても大丈夫なジョイントは理想的というべきだが……その分、この製品を高価なものにしている気がする。せいぜい、90°まぁ、180°曲げれば気が済む機能にはオーバースペックなのかも知れない。

最近の小型化して軽快にしてカラフルな signal なる製品も相変わらず、この特別なジョイントが備わっているのだろうか……。


Posted by 秋山東一 @ March 12, 2010 12:02 AM
Comments

kass さん、どうもです。
「分解」して、「解読」です。昔、TAUという雑誌に「機械解読」なる文章を書いたことがあります。
http://landship.sub.jp/stocktaking/archives/000712.html

Posted by: 秋山東一 @ March 16, 2010 02:19 AM

愛情を生むデザインは、やはり機能が突出しているのだという事を実例で紹介していただき、とても勉強になります。
「分解」とは思索なのですねぇ。

Posted by: kass @ March 15, 2010 09:40 AM

alpshima さん、どうもです。
1950年登場……、あの頃の時代精神を十分に体現しているデザインであることは間違いありません。フランスの自転車部品、ソレックス、2CVに通ずるようなエスプリを感じますです。

Posted by: 秋山東一 @ March 12, 2010 09:43 AM

たかさん、どうもです。
この Jeldé、1950年に登場し……すごいですねぇ。ちょっと高価ですが、こいつが20年以上使えているように、長持ち……ですから、持っていても悪くないですよ。

Posted by: 秋山東一 @ March 12, 2010 09:38 AM

機構と姿が一体化していた時代の物件に惹かれるとは、このような解体例があるからです。
ダイソン社の最新の掃除機の部品もその一つ一つが美しいのであれります。alpshima

Posted by: alpshima @ March 12, 2010 08:59 AM

「ん~」と
思わず唸ってしまいました...。
「スゴイ」です...。

Posted by: たかさん @ March 12, 2010 08:33 AM