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Raymond /basic house 1954

Architecture , BeV Standard

basic_house_photo_0.jpg+
建築専門雑誌「建築」(平良敬一編集長) 1962年4月号の特集はアントニン・レーモンド木造建築集であった。

その中に、この basic house と呼ばれる木造軸組工法の小さな平屋住宅がある。いわゆる米軍用住宅デペンデントハウスのイレギュラーな系譜に属するものと思うが、明快にして単純な平面、断面計画がそこにはある。

レーモンドの日本建築の伝統への敬意、そして、彼のスタンダードな住宅の考察を感じる。その頃、スタッフには若き増沢洵がいる。増沢の最小限住宅と共通するものを感じる。

モジュールは尺、奥行き24尺(7,272mm)間口30尺(9,090mm)の平面、4間5間だから20坪の床面積だ。架構は2尺(606mm)ピッチの丸太によるものだ。平面図を見ただけでも、1950年代にして、ヒーター(灯油ストーブか……)、湯沸し器、冷蔵庫、洗濯機と……、住宅設備のレベルが違う。

basic_house_plan_1.jpg

basic_house_sec_1.jpg


追記 100309

同誌に掲載されていたディテールの図面を追加する。

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Posted by 秋山東一 @ March 9, 2010 07:58 AM
Comments

yonmas さん、はじめまして、こんにちは。
お教えいただいた Google Map の跡地を、国土地理院の国土変遷アーカイブの空中写真、米軍が1956年に撮ったものを見たら、もちろん、まだ実物がありますね。
この basic house らしき建物群もありますが、さて……。

Posted by: 秋山東一 @ March 12, 2010 12:14 AM

朝霞ペンタゴンと呼ばれていた、基地内の建物がレイモンドだというのは、調べて知っていたのですが、このような付属施設もそうだったのですね。朝霞ペンタゴンは、GoogleMapにまだ痕跡が残っています。(キャンプ座間の縮小版)
http://bit.ly/auOzi4

かつて朝霞にあった、東京ゴルフ倶楽部のクラブハウスもレイモンドですし、なんとなく縁がある場所です。

Posted by: yonmas @ March 11, 2010 11:20 PM

iGa さん、どうもです。
その後の、三沢さんの記述……ありがとうございました。
私は1964年頃、麻布の笄町(こうがいちょう)のレーモンド事務所にアルバイトに出かけていました。三沢浩氏、内藤恒方氏、その他大勢いらっしゃいましたが、学生風情がお声を……なんて雰囲気ではなかったなぁ。たまに顔を出すレーモンドの方が優しく接してくれました。

Posted by: 秋山東一 @ March 10, 2010 11:52 AM

たかさん、どうもです。
なかなか……でしょう。こういうものって、若い頃はなかなか評価しなくて……私も、今、分かります。

Posted by: 秋山東一 @ March 10, 2010 11:36 AM

もしかすると...と本棚から『A.レーモンドの建築詳細』三沢浩著を取り出してみたら164頁にありました。但し平面図はなく、断面図が二面と原寸図だけで、図版は何れも「建築1962年4月号からの引用でした。朝霞の米軍キャンプに建てられた米軍下士官家族向けに造られた6タイプの住宅の一つとか。雑誌「建築」の記事も書いている三沢浩氏は翌年の1955年からレーモンド事務所勤務ですね。

Posted by: iGa @ March 9, 2010 11:49 AM

じっと、(図面を)みていると
いまでも通ずる
「暮らし方」
がみえてきますね。
(ちょっと「いいかた」が悪く
なりますが...笑)
このくらいの「潔さ」があっても
いいんじゃないかとおもいました...。

Posted by: たかさん @ March 9, 2010 09:45 AM