100308

やっぱり、木の家がほしい!

Architecture , BOOKS

4860590821.jpg


やっぱり、木の家がほしい !
 ―建築家とたてる安くても住み心地がよい木の家の作り方&頼み方

著者: 家づくりの会〈木の研究会〉・松澤 静男/古川 泰司

ISBN: 978-4860590826
出版社: アーク出版

価格: 1,890-円(税込)

本書は、著者のお一人である古川さんからいただいたものだ。「NPO法人家づくりの会〈木の研究会〉」のメンバーとしてお書きになったものである。

本書は広く一般ユーザーに向けて「木の家」を勧めるという啓蒙的な本であるが、「建築家とたてる安くても住み心地がよい木の家の作り方&頼み方」という長い副題がついているように、あくまでも「建築家とたてる……」の部分が本旨なのであろう。のっけから「後悔しない……」と脅かされては、ちょっとびびる。

本書の半分近くの頁は、第2章の「建築家とつくるこだわりの木の家」なる、メンバー13人による木の家の実例集である。メンバーの皆さんはパッシブソーラー住宅の実践でお馴染のアトリエ派、小設計事務所の方々である。その手堅い手法の住宅が並んでいる。

メンバーの方々、いろいろと異なったお考えをお持ちと思うが、本書全体の主張は、グループとしての最大公約数的な内容であるのはいたしかたない事であろう。


目次
はじめに 後悔しない家づくりのために

第1章 なぜいま木の家がブームなのか
  1 本物志向、自然志向の高まりとともに 木の家ブームがやってきた
  2 なぜ美しい木の家が姿を消してしまったのか? ー間違いだらけの戦後日本の住宅建築史
  3 本当の木の家を知らないがゆえに起こる間違った常識

第2章 建築家とつくるこだわりの木の家【実例集】
    木の産地にこだわる
    木の家のつくり方とつくり手
    自然素材を使った木の家
    木の家だからできる安らぎの空間

第3章 木の家の魅力を知る
    木の家はなぜ住む人に優しいのか
    木の家はなぜ日本の風土に合うのか
    木の家はなぜ環境に優しいのか
    木の家はなぜ長く住めるのか

第4章 木の家は高くない 〜木の家の価格論〜
    木の家は高いのか?

第5章 木の家づくり、ここがポイント
    木の特徴を生かした間取りのポイント
    木の特徴を生かした家づくりのために知っておきたい木の品質
    木の特徴を生かした構造材・内装・設備のポイント
    木の特徴を生かした快適な住空間のつくり方 高気密と結露問題

第6章 木の家づくり、失敗しない頼み方
    木の家づくり建築家への頼み方
    情報集めから完成まで 家づくりではこんなことが行なわれる!

第7章 木の家ネットワーク
    ネットワークの大切さ
    木の家ネットワーク

 終章 理想的な日本の家を求めて


現在、住宅を設計するアトリエ的な設計事務所にとってますます厳しい時代になりつつある。牧歌的な仕事から、ある意味で、建築行政に沿った業務と言われるようなルーチンワークへと仕事環境は大いに変わりつつあると思われる。
そんな環境の下でサバイバルを目指さねばならない。どこをどう展開して活路を開いていくのか……大いなる問題と考えているのだ。

もう古典的な設計者の存在はお終いなのではないかと思っている。先鋭的な、コンセプチュアルな領域は、いわゆる「建築設計者」である必要はない。又、通常の住宅の供給と考えた時、工務店の設計施工という形に埋没してしまうのではないか……とも考えているのだ。

設計者にとって、どのような立ち位置を占めるのか……それが問題ではないかと考えている。本書の「木の家ネットワーク」も一つの生き方ではないかと考えているのだ。


Posted by 秋山東一 @ March 8, 2010 12:04 AM
Comments

fuRu さん、どうもです。
「ネットワーク」が……と誤解されると困るのですが、各々の設計者にとって、自分自身の立ち位置を、どのようのに拡げていけるのかどうか……それが問題であると考えているのです。

Posted by: 秋山東一 @ March 8, 2010 11:23 PM

お取り上げいただきありがとうございます。
「ネットワーク」というのは、秋山さんが常に語っておられたこと。その響きが、私の頭の中に残っていたと思います。
また、ネットワークのネットワークということも草の根の根っこの部分の栄養として大切だと考えています。

Posted by: fuRu @ March 8, 2010 12:14 PM