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それでも、日本人は「戦争」を選んだ

BOOKS

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それでも、日本人は「戦争」を選んだ

著者: 加藤 陽子

ISBN: 978-4255004853
出版社: 朝日出版社
価格: 1,785 -円(税込)

「戦争」を読む……時、まずは、それを論じる視座がいかなるものであるのか、そこから読む事を始める……のような気がする。特に、日中戦争から太平洋戦争への「昭和の戦争」は、その視座によって180度異なる論旨が存在するからだ。

本書は池谷裕二による「進化しすぎた脳」と同じ趣向で、東京の有名私立学校の中高校生に対して行った特別講義五回分の記録なのだ。

これが、易しく講義してあると思いきや、高レベルでついていくのが辛い……というものなのだ。「学」の視点がいかなるものなのか……それを遺憾なく発揮した戦争論なのだ。


目次
   はじめに

序章 日本近現代史を考える
    戦争から見る近代、その面白さ
    人民の、人民による、人民のための
    戦争と社会契約
    「なぜ二十年しか平和は続かなかったのか」
    歴史の誤用

1章 日清戦争―「侵略・被侵略」では見えてこないもの
    列強にとってなにが最も大切だったのか
    日清戦争まで
    民権論者は世界をどう見ていたのか
    日清戦争はなぜ起きたのか

2章 日露戦争―朝鮮か満州か、それが問題
    日清戦後
    日英同盟と清の変化
    戦わなければならなかった理由
    日露戦争がもたらしたもの

3章 第一次世界大戦―日本が抱いた主観的な挫折
    植民地を持てた時代、持てなくなった時代
    なぜ国家改造論が生じるのか
    開戦にいたる過程での英米とのやりとり
    パリ講話会議で批判された日本
    参加者の横顔と日本が負った傷

4章 満州事変と日中戦争―日本切腹、中国介錯論
    当時の人々の意識
    満州事変はなぜ起こされたのか
    事件を計画した主体
    連盟脱退まで
    戦争の時代へ

5章 太平洋戦争―戦死者の死に場所を教えられなかった国
    太平洋戦争へのいろいろな見方
    戦争拡大の理由
    なぜ、緒戦の戦勝に賭けようとしたのか
    戦争の諸相

   おわりに   参考文献   謝辞


追記 100814

MyPlace の玉井さんが本書についてエントリーされた。
 ● MyPlace: それでも、日本人は『戦争」を選んだ


Posted by 秋山東一 @ September 30, 2009 08:25 AM
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