読んでいない本について堂々と語る方法 | [ BOOKS ] |
読んでいない本について堂々と語る方法
著者: ピエール・バイヤール Pierre Bayard
訳者: 大浦 康介
ISBN: 978-4480837165
出版: 筑摩書房
価格: 1,995-円(税込)
これから、本を読まないで.......エントリーにするには、本書を読んで、方法を学んでからでなくては......ならないのだ。
著者 Pierre Bayard ピエール・バイヤール氏は精神分析家にしてパリ大学教授とのことだが、挑戦的な本書を........まずは、読まずにはいられないのだ。
I 未読の諸段階(「読んでいない」にも色々あって…)
1 ぜんぜん読んだことのない本
2 ざっと読んだ(流し読みをした)ことがある本
3 人から聞いたことがある本
4 読んだことはあるが忘れてしまった本
II どんな状況でコメントするのか
1 大勢の人の前で
2 教師の面前で
3 作家を前にして
4 愛する人の前で
III 心がまえ
1 気後れしない
2 自分の考えを押しつける
3 本をでっち上げる
4 自分自身について語る
結び
訳者あとがき
第一章から作家あるいは作品を中心に論旨を展開していくのである。ムジールの「特性のない男」から始まり、ポール・ヴァレリーのアナトール・フランスについての演説、ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」、そして、モンテーニュの自己消失の話で読まない事を正統化してくるのである。
第二章は、グレアム・グリーンの「第三の男」、アフリカ西海岸ティブ族への「ハムレット」、ピエール・シニアックの推理小説「フェルディノー・セリーヌ」、そして最後の「愛する人の前で」は映画「Groundhog Day(邦題「恋はデジャブ」)となるのだ。この映画の事は、町山のポッドキャストを聴いたばかりだから、よく分かる。
第三章はデイヴィット・ロッジの「交換教授」「小さな世界」、バルザックの「幻滅」、夏目漱石「我輩は猫である」、そして、オスカー・ワイルドの読書論へと導かれるのである。
ご丁寧にも、先生は読んでいる、いない、流し読み、忘れた.......そして評価まで......のせているのである。