窓を開けなくなった日本人 | [ Architecture , BOOKS ] |
窓を開けなくなった日本人—住まい方の変化六〇年
百の知恵双書 (018)
著者: 渡辺 光雄
ISBN: 978-4540050039
出版: 農文協
定価: 2,800-円(税込)
従って、研究者の意識と設計者のそれとの違いはあるが、本書の主題「住まい方の変化60年」については共有する認識というべきものがある。
氏はエドワード・S・モースが詳述した明治期の日本家屋の特質を下敷きに、第二次世界大戦後の日本の家の変り様を「サザエさん」の家を基に分析していく。
新建材、アルミサッシ、電化製品、空調機の登場によって変ってきた住宅、そして、物、物に溢れかえった日本人の家を「窓を開けなくなった日本人」という言葉で象徴させているのだ。
物心ついた自分にとっての家は、未だモースの描く日本人の家、そのものであったように思える。和室の連なり、日当りのいい縁側.........もう、そんな中での生活は遠くのものになってしまったが、そんな世界を知らない最近の設計者諸公にこそ読んでもらいたい本であるのだ。
第1章 サザエさんとブロンディの住生活−日本人の住生活の特徴はどこにあるのか
1.サザエさんとブロンディの家はどこが違う?
2.上床のユニークな日本人の生活
3.和洋の暮らしの不思議な逆転現象
第2章 激変した戦後住宅の60年−住生活を変えたモノの正体
1.新建材が変えた戦後住宅と暮らし
2.モノに占領された戦後住宅
3.家財と設備が変えた家の機能
第3章 窓を開けなくなった日本人−起居動作の変化とその問題点
1.生活のディティールを見る目
2.「夕涼み」をしなくなった日本人
3.「修羅場の部屋」と住宅の機能
4.「通り土間」を忘れた日本人
5.玄関に始まった「ビルドイン現象」
6.床の使い方を迷い始めた日本人
7.窓を開けなくなった日本人
8.集合住宅に「縁側」は無理なのか
9.ダイニングキッチンに戸惑う主婦
10.ユニバーサルデザインと台所のいろいろ
11.履物が少なくなった日本人
12.ホテルで戸惑う五つの事
第4章 これからのライフスタイルと住空間−住宅と住生活に関する九つの提案
1.住宅地に関する三つの提案
2.住生活のためのゾーニング
3.ライフステージと設備
4.「動かない生活」から「動く生活」へ
あとがき
その「提案」は多岐にわたるが、スチュアート・ブランドの「How Buildings Learn」的に整理すれば、S.........Site への提案、Space への提案、Service への提案と整理して読んだ。
これから、これからの時代に何を作るべきか...........二百年住宅、住宅と喧しい今、しっかりと見据えなければならないと考えているのだ。
iGa さん、どうもです。
出放題にもありましたが、全国の空家500万戸、賃貸マンションの空き室率50%というそうですが、あいかわらず開発行為が行われ、マンションが建てられ続けていることってなんなんですかねぇ。
心の窓も開けなくなったってことでしょうね。
昨日深夜のNHKスペシャルの再放送「沸騰都市・東京」を見ていて、悪食の鮫のように泳ぎ続けていないと呼吸が止まり死んでしまう開発業者・Mの姿に吐き気がしました。
窓を開けられない超高層住宅に追いやられている人々...とても希望をもてる生活とは...