「坊っちゃん」はなぜ市電の技術者になったか | [ BOOKS , TRANSPORT ] |
「坊っちゃん」はなぜ市電の技術者になったか
新潮文庫
著者: 小池 滋
ISBN: 978-4101361512
出版: 新潮社
価格: 420-円(税込)
日本文学の名作、それも誰でも知っている名作八編に、年季の入った「鉄chang」が殴り込む。
作家が記した「鉄気」を見逃す事なく、その時代場所の鉄道知識を元に、その名作の秘密に迫っていくのだ。
佐藤春夫の「田園の憂鬱」を題材にした「田園を憂鬱にした汽車の音は何か」の犯人、横浜線は極々親しいものだ。その主人公たる佐藤春夫が「幻聴」と記した深夜の汽車の音とは何だったのか.......それは背筋がぞくぞくするような興奮を覚えた。
1917(大正6)年、日本の鉄道の「狭軌」か「広軌(標準軌)」のゲージ論争の為、広軌の実験線が作られて実験された。それが現横浜線の橋本・町田間で行われたのだそうだ。それは周辺に何もなく直線距離が十分ある路線.........なのである。その工事準備の臨時貨物列車が深夜走行していたのではないか........と推理しているのだ。
「坊ちゃん」の「物理学校」から、「街鉄」の「技手」の話まで、中央線の「痴漢」の元祖は.......、「市電」から、「玉ノ井」で錯綜する二つの鉄道........、「二等」「三等」の差別、「銀河鉄道の夜」のモデル「岩手軽便鉄道」から、東海道線「国府津」駅の運命..........まで、鉄分十分の面白さなのである。
Posted by 秋山東一 @ November 30, 2008 03:55 AMiGa さん、どうもです。
この「田園の憂鬱」の舞台から横浜線までは4kmほどですから、1917年では車も走らない世界ですから、汽車の音はよく届いたんじゃないかというのが推理です。我が家から八高線まで直線距離で700mで、開かれた浅川の鉄橋上ですからよく聴こえるわけです。
家から横浜線までは直線距離で5キロ、中央線まで直線距離で1キロ、中央線の貨物列車の音は山を越して夜中よく聴こえましたが、5キロくらいなら、もしかすると昔は横浜線を通る貨物列車の音が聴こえていたかも....。
Posted by: iGa @ November 30, 2008 07:01 PM