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〈使い勝手〉のデザイン学

BOOKS

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〈使い勝手〉のデザイン学
朝日選書 844

著者: ヘンリー・ペトロスキー Henry Petroski
訳者: 忠平 美幸

ISBN: 978-4022599445
出版: 朝日新聞出版
価格: 1,470-円(税込)

なんだか。.........学って、いかにも安直な、手抜きの編集者が付けそうな書名ではあるが、本書の原題は Small Things Considered: Why There Is No Perfect Design だ。ま、いいか。

とにかく、我らの日常、周辺の物品の諸相、それらのデザイン論というべきものなのだ。

このヘンリー・ペトロスキー先生のご著作......その翻訳本を、私め、別に選んで.......というわけではないのに、なんだかみんな読むこともなく持っている........というのも、なんでかなぁ...........。


目次
 1 見た目、使い勝手、それとも機能? デザインの本質
 2 ひとつのグラスから見えてくるもの デザインに目をこらす
 3 きれいでおいしい水 デザイン、デザイン、どこもかしこも
 4 電灯、ヘッドライト、懐中電灯 明るく照らすデザイン
 5 車のカップホルダー進化論 デザインに駆りたてられて
 6 かぎられた空間にたくさん詰めこむには 箱のなかのデザイン
 7 夢のスーパーマーケット 迷路じみたデザイン
 8 レジ袋の歴史をさかのぼる 紙袋から生まれたデザイン
 9 もっと手早く、もっと楽しく 家事のデザイン
10 ダクトテープと「WD‐40」 庶民のデザイン
11 流し台の水栓とジャガイモの皮むき器 身につまされるデザイン
12 身体になじむ椅子をもとめて 既製のデザイン
13 扉ノブと電灯スイッチの高さ 慣れ親しんだデザイン
14 ケータイと電卓のキー配列はなぜ違うのか 数字でデザイン
15 レストランもデザインの現場になる 選んでデザイン
16 歯ブラシ立てに入らない歯ブラシ 作意との遭遇
17 わが家の増改築 デザイン、壁にぶちあたる
18 階段をめぐる考察 上りゆくデザイン

   索引・謝辞と註・参考文献・図版出典


まぁ、どの章も興味深い.....というか、ちょっと読んでみたくなるようにできているんだな。.........学と名付けた理由が分かるような気がするのだ。

このヘンリー・ペトロスキー Henry Petroski は土木工学の先生なのだが、なかなかの筆達者で「デザイン」に関する沢山の著作が.........その翻訳本をリストアップしておこう。

  〈使い勝手〉のデザイン学  (朝日選書 844)
 ● もっと長い橋、もっと丈夫なビル―未知の領域に挑んだ技術者たちの物語  (朝日選書 804)
 ● 本棚の歴史
  ゼムクリップから技術の世界が見えるーアイデアが形になるまで
  橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書 686)
  フォークの歯はなぜ四本になったか―実用品の進化論
 ● 鉛筆と人間
 ● 人はだれでもエンジニア―失敗はいかにして成功のもとになるか


追記 080826

松岡正剛の「千夜千冊 遊蕩篇」の 1186夜 はヘンリー・ペトロスキーの「本棚の歴史」だ。

 ● 『本棚の歴史』ヘンリー・ペトロスキー 松岡正剛の千夜千冊・遊蕩篇

  鉛筆や橋を同じ目で見られるか ペトロスキーはそれをする 身体とともにモノを見る
    「工学する目」の重要性 仮説することの工学性
       では、本棚とは何だったのか アプダクションの編集工学なのだ こんな一冊からも世界が変わって見えていく


Posted by 秋山東一 @ August 26, 2008 02:19 AM
Comments

皆さん、どうもです。
「使い勝手」........だけを注目すると、ちょっと著者の意図とは違うような気がするのですが、面白い本でした。

Posted by: 秋山東一 @ August 26, 2008 11:45 PM

先生、おはようございます。

いやー、使い勝手とデザインってことで、仕事&プライベートで何度苦い思いをしたことか…。

これはワタシにとって必読の書です。

早速、購入します。

Posted by: yoko-m @ August 26, 2008 08:58 AM

おおいに参考になりそうです。

Posted by: alpshima @ August 26, 2008 08:13 AM