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幼年期の終わり

BOOKS

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幼年期の終わり
光文社古典新訳文庫

著者: アーサー・C・クラーク Arthur C. Clarke
訳者: 池田 真紀子
ISBN: 978-4334751449
出版: 光文社
価格: 780-円(税込)

今年3月にアーサー・C・クラークが90才で亡くなったというニュースを聞いたばかりだが、書店で「初版から36年後に書き直された新版、初の邦訳!」と帯にあるのが目に付いて、本書、光文社古典新訳文庫版手にとった。まぁ、「SFを超えた『哲学小説』!」とあるのは余計な話.......だが。

本書はSF古典中の古典だが、永らくハヤカワ文庫の福島正実の訳本が定番であった。ずいぶんと昔に読んだという記憶があるが細部にいたってはとんと記憶がない。きっと読みかけのまま......そのまま忘れてしまったようだ。

オリジナルが出版されたのが1953年だが、36年後の1989年に改訂された版の初の訳本ということになるんだそうだ。本書の「まえがき」でクラークは1950年代の米ソ宇宙開発競争、超常現象とその後の知見について書いているが、改訂されたの冒頭の第1部の第1章は、文庫本の本書でたったの5頁....なぁーんだ、というところなのである。

しかし、そんな時代を感じさせない迫力で一気に読まさせてくれるのが本書だ。


目次
 まえがき
第1部 地球とオーヴァーロードたち
第2部 黄金期
第3部 最後の世代
    解説ー人類の未来と平和   巽 孝之
    年譜
    訳者あとがき

本書は未だ映画化されていないが、これが映像となったら.....は、「2001年宇宙の旅」や、その後のSF映画の諸々で想像しえる。

本書の「まえがき」でクラークは、オーヴァーロードの宇宙船団が地球上の大都市上空に現れる本書の冒頭は、第2次世界大戦中の1941年夏の夕暮れ時、30数キロ離れた丘の上から望見したロンドン上空の何百もの防塞気球が光り輝いている光景が............、本書「幼年期の終わり」のアイディアを生みだしたのかもしれないと書いている。

真鍋さんの komachi memo2 のエントリーで「最近、大学の文芸サークルの学生が選ぶ「大学読書人大賞」に選ばれた........」とあった。私も朝日新聞の書評欄で読んだが、そんなところで、本書が選ばれているなんてとてもすてきだ。

Posted by 秋山東一 @ June 1, 2008 09:14 AM
Comments

iGa さん、どうもです。
ちょっと古い文庫本は読めないですね。本文の紙の劣化が激しくて.....。確かに、新訳は読みやすかったです。

Posted by: 秋山東一 @ June 3, 2008 12:31 PM

アーサー・C・クラークが亡くなったとき、ハヤカワ文庫を読み直そうと思ったけれど、活字が小さく...とても読み辛くて...

この新訳は活字も大きく読みやすそう...あたしもそーゆー年頃なのね。

因みに
ハヤカワ文庫は43文字×20行
光文社古典新訳文庫は37文字×15行

Posted by: iGa @ June 3, 2008 11:37 AM

Shin さん、どうもです。
そうですね。確か二回目にロードショーされた時、子供だった Ken を連れて京橋で観たことがりました。「2001年......」「2010年......」のテーマは、やっぱり、この「幼年期の終わり」にありますね。

Posted by: 秋山東一 @ June 1, 2008 01:37 PM

AKiさん
僕も書評とkomachi memo2で買いました
何と言っても「2001...」は10年ごとに3回も見てしまいましたし、SFのヒーローでした。

Posted by: shin @ June 1, 2008 01:24 PM