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鉄腕ゲッツ行状記

BOOKS

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鉄腕ゲッツ行状記―ある盗賊騎士の回想録

著者: ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン Goetz von Berlichingen
訳者: 藤川 芳朗

ISBN: 978-4560026298
出版: 白水社
価格: 2,625-円(税込)

鉄腕............といえばアトムだが、この鉄腕ゲッツなる人物、実在の人物で西洋では知らぬものない有名人だそうだ。かのゲーテは戯曲「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン」を書き、ナチスドイツのSS軍にもその名を冠した部隊があったくらいだ。

このゲッツ・フォン・ベルヒリンゲンなるドイツの騎士は1480 (or 1481) 年生れで、マルティン・ルターや、デューラーと同時代人だそうだ。しかし、彼がそんな立派な何かを為したという訳ではないが、ちゃんと回想録を残し、その頃にしては大変な長寿。80歳を越えるという人生をまっとうしたのであった。青年時代の戦闘で砲撃によって右手首を吹き飛ばされてしまったが、その後、そこに鋼鉄製の義手を取付け大いに活躍したのである。

彼の生きた時代は中世から近世への激動の移行期で、騎士階級にとっても生きるのに苦労の時代であった。彼らの専門である戦いの武器も、剣や槍から銃砲に取って代わりつつある時代であったのだ。

彼の活動の大半はフェーデと言われる争い事である。騎士身分にとっては許されてきたその権利も1495年には帝国議会での「永久平和令の施行」によって犯罪行為となってしまっていたのだ。本書の帯には「勇敢な騎馬武者か?....無法の盗賊騎士か?」とあるが、フェーデも現代的な意味とするならば「ヤクザ」の縄張り争い、みかじめ料という事になるのであろう。
そのあたり、一般庶民にとってヤクザの親分が人気を博する、それも片腕となれば尚更......この痛快なる自伝、行状記が面白いのも当然なのである。


 目次
 訳者まえがき
 構成
 献辞
第一部 フェーデ
 その一 生い立ち、ブルグント遠征、辺境伯の小姓としての日々
 その二 スイス戦争、マクシミリアン1世から言葉をかけられる
 その三 盗賊騎士ゲッツの誕生、ニュルンベルク戦争での大手柄
 その四 厚顔無恥な傭兵を相手に、危険な大立ち回りを演じる
 その五 追い剝ぎ同然の騎士たちがぶつかり合う、小さな逸話
 その六 砲弾で片手を失うが、鉄腕騎士となってますます暴れる
 その七 姓名未詳の煽動者を支援した、ゲッツ兄弟の短い逸話
 その八 対ケルン市のほか、フェーデがフェーデを呼ぶ日々
 その九 対バンベルク・フェーデ、ただし狙いはニュルンベルク
 その十 帝国追放刑と破門、さらには戦争で捕虜となる体験
 その十一 生涯最高額の身代金を得るフェーデ、他の騎士との確執
第二部 農民戦争
 その一 農民軍に無理強いされて、その隊長となったいきさつ
 その二 農民戦争の責任を問われ、二年の幽閉生活を送る
 その三 釈放に際しての条件、裁判官の横顔とルター派の信仰
 その四 シュヴァーベン同盟解散で失われた釈明の機会
第三部 騎士としての武力行動
 その一 若いころ、一貴族の争いに加勢し、捕虜となる話
 その二 ジッキンゲンを訪れる途中、見知らぬ騎士に襲われる
 その三 恩赦で軟禁を解かれ、対トルコ戦争でウィーンにおもむく
 その四 すでに高齢ながら、カール5世のフランス遠征に参加する
 その五 世のため人のために生きたことを、今一度教訓として語る
 その六 神の恩寵を信じつつ、回想に終止符を打つ
 訳注
 ゲッツ年譜
 訳者あとがき

私の最大の興味は鉄腕自体にあるのだが、本書は見開き二葉でその外観と断面の図解がついているのである。ゲッツ御用達の刀鍛冶が製作したとのことだが、時計職人が製作したのかと思える精密な仕掛けには感心なのである。

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本書にはこの義手が「資料館に展示......」とあるだけで、その資料館が何処.....とは書かれていない。
「Goetz von Berlichingen」で Google の画像検索をしたら、ミュンヘンの Deustches Museum のサイトが出てきた。「義手」の展示にこれが、あるいはレプリカがあるらしい。さすが Deustches Museum.......と思ったのである。

 ● Ersatztelle


Posted by 秋山東一 @ May 15, 2008 10:10 AM
Comments

たかさん、どうもです。
本書、書店で図解を見てゲットでありましたです。実物を見てみたいと思っておりますです。

Posted by: 秋山東一 @ May 15, 2008 10:58 PM

こういう「図解もの」には、ヤラレタァ~(笑)、という感じです。
しかし、500年前くらいのことと考えると...驚...ですね。

Posted by: たかさん @ May 15, 2008 12:24 PM